ケーブル被災の他にも、通信が遮断したり、通じにくくなる原因はいくつかあります。大規模な災害が発生すると、回線が混雑してつながりにくくなる「輻輳(ふくそう)」もそのひとつ。そのためNTTグループは110、119など緊急電話には複数ルートの回線を設置し、地方自治体の機関、インフラ、主要マスコミなどは災害時優先電話とするなど、重要な通信は輻輳の影響を受けにくくしています。
では自分や家族が災害に巻き込まれたときは、どのようにして連絡を取ればよいのでしょうか? NTTグループでは主に3つの方法を用意しています。
1.災害用伝言サービス「171」「web171」
阪神淡路大震災時「家族と連絡を取れない」との声が挙がったことから、伝言ダイヤル「171」の開発や公衆電話無料化(後述)が行われました。「171」を利用すれば、電話での安否確認が難しいときでも、被災地域内やその他の地域の人と連絡を取ることができます。
「171」は電話を使い声で録音・再生しますが、インターネット上で文字を使い伝言を登録・閲覧できる「web171」サービスもあります。2011年の東日本大震災時は171とweb171の利用割合が9:1程度でしたが、2016年の熊本地震では3:7と逆転。今ではインターネットによる安否確認の割合が急増しています。
毎月1日と15日は171の体験利用日となっているので、もしものためにも実際に試して利用方法を確認しておきましょう。
2.特設公衆電話
災害発生後、数ある避難所それぞれに新たに回線を敷設するのは大変です。そこでNTT西日本は自治体と連携し、避難所への特設公衆電話の事前設置を進めています。特設公衆電話とは、電話機を差し込めばすぐにみんなが無料で利用できるような電話のこと。すでに7000以上の場所に準備しており、鳥取地震では15箇所の避難所に特設公衆電話が提供されました。
事前に設置しておけば、避難所開所後すぐに電話が利用できるため、携帯電話を持たない高齢者も電話が使えるようになります。なおNTT西日本はあわせて特設公衆Wi-Fiも提供します。
3.公衆電話の無料化
東日本大震災でも活用されたのが、公衆電話の無料化です。携帯電話が普及し、街中で公衆電話を目にする機会はめっきり減りましたが、現在でも500m四方に必ず1台は設置しており、NTTは全国で9.3万台、関西エリアでは3万台の公衆電話を保有しています。
災害時に停電が長期にわたると、テレカが使用できずコイン収納箱がいっぱいになるおそれがあります。そのため緊急措置として公衆電話を無料で利用できるのです。
大規模な災害は多くの被害と悲しみを生みますが、その一方で新たな対策が作られ、日々進化していることがよくわかります。後編ではドコモ関西の災害対策現場の最前線をお伝えします。