目指すは牛丼市場と人気外食メニューの全制覇
その背景として、くらコーポレーションは寿司以外のサイドメニューの拡充により顧客の来店回数の増加を狙っていることが挙げられる。回転寿司が普及し手ごろな価格で寿司が食べられるようになったとはいえ、お客さんに毎日食べてもらうというのは難しい。寿司だけだと利用客が店に足を向ける頻度がどうしても減ってしまう。そこで寿司以外のメニューを提供することによって、「昨日はお寿司だったけど、今日はラーメン」という風にリピートして来店してもらえるようになるのだ。
同社の第三四半期の数字は売上840億1,500万円、昨年に比べ8.6%増。経常利益も50億2,200万円で4.7%増と好調だが、田中信取締役副社長は業績を支えているのは「美味しさはもちろん、安全・安心にこだわったお寿司、そして専門店以上の味にこだわったサイドメニュー」と寿司以外のメニューも強調する。実際、3年連続で既存店売り上げが100%を超え、寿司以外のメニューが新たに登場するたび話題となる現状を考えると、無添くら寿司の戦略は正しいといえるだろう。
そして今回、牛丼を選んだ理由のひとつが市場規模の大きさだ。同社では牛丼チェーン大手4社の売上総計は現状3,665億円と、無添くら寿司を含めた回転寿司チェーン4社の総計に匹敵すると見ており、牛丼を販売することで巨大規模の市場獲得に乗り出すという。
またもうひとつの理由が、牛丼は外食における人気メニューであること。同社では回転寿司、ラーメン、カレー、牛丼を「外食メニュー4冠」ととらえており、老若男女問わず人気だと見ている。回転寿司を主としながら、これまでラーメン、カレーと販売してきた同社としては、牛丼の販売はただサイドメニューを拡充するだけでなく、外食における人気商品を制覇するために欠かせないという思いがあったようだ。