コンピュータという存在の再編

筆者がもう1つ、昨年から今年にかけて、アップルの考え方の変化を感じている点がある。アップルは「コンピュータ」の入り口を、必ずしもMacに限定しないと、明確に舵を切ったのではないか、ということだ。その理由は、2016年3月に発表したiPad Pro 9.7インチモデルの存在にある。

製品発表を行ったフィル・シラー上級副社長は、古いPCからの乗り換えを狙っている製品だ、と指摘した。いままでであれば、MacBook Airを勧めていたと考えられるが、今回の発表でMacBook Airは併売される13インチモデルを残して、ラインアップのアップデートを終えている。

アップルは、iPhoneユーザーが新たに覚えることなく、すぐに仕事やクリエイティブに利用できる「入り口となるコンピュータ」としてiPadを設定した。Macよりも単価は1/3に下がるが、それ以上の販売台数が出るという算段だろう。

いままでのコンピュータが使いたい人、そしてプロフェッショナルに向けたラインアップとして、MacBook、MacBook Proの2本立てに統一したと考えている。

併売モデルを除き、MacBookは1299ドルから、MacBook Proは1499ドル、1799ドル、2399ドルという価格展開に整え、1台あたりの販売価格を上昇させた。製品単価の上昇は、iPhone、iPad Proでも同様であり、アップルがより効率的に収益を上げていく戦略にも一致する。

新MacBook Proの価格は左から1499ドル、1799ドル、2399ドル

iPadについても、iPad AirシリーズはiPad Proシリーズに統合され、より身近な「iPad」が改めて追加されるかもしれない。