レガシーポート、フロッピーディスクドライブ、光学式ドライブなど、過去にAppleは多くの利用者がいる機能を大胆に省いて、ユーザーの前進を後押しした。たくさんのユーザーに使われている製品をフェードアウトさせたこともあった。たとえば「iPod mini」である。小型HDDを内蔵したiPod miniは価格が手ごろで大ヒット製品になっていたが、あっさりと終了させてフラッシュメモリー内蔵のiPod nanoにシフトさせた。当時はまだフラッシュメモリーが高価で、小型iPodの価格ははね上がったが、iPod nanoを通じて高速でデバイスを小型にできるフラッシュメモリーの価値がユーザーに伝わり、それが後のフラッシュストレージの普及を加速させるきっかけになった。
27日に開催したスペシャルイベントの招待状に、Appleは「hello again」というメッセージを付けた。「hello」と言えば、1984年のMacintosh発表で、Macintoshが発した最初の言葉である。MacBook Proの新製品の発表に「hello again」とは「大げさな……」と思った人もいるかもしれない。だが、今回のMacBook Proの刷新で、Appleは機能の省略と大ヒット商品のフェードアウトの両方に乗り出した。機能はFキーとThunderbolt 3以外のポート、そして製品はMacBook Airである。詳しくは後半で触れるが、MacBookユーザーの利用体験を新たな時代へと導く発表だったと考えると、「hello again」は今回のイベントの意味をよく表している。
キーノートは、障害を持つ人たちがApple製品を使いこなす様子の映像……実は、その映像も障害を持つ人がアクセシビリティ機能を用いてMacに触れることなく作成していた、というサプライズのあるビデオから始まった。
そしてTim Cook氏がアクセシビリティに関する新しいWebサイトの開設を発表した。全ての人がApple製品を使えるように、そのリソースとなるWebサイトである。
続いて最新情報のアップデートとして、iPhone 7シリーズ、iOS 10、iOS 10.1アップデートとポートレートカメラに対するユーザーやアナリストの反応、日本でのApple Payの開始、Apple Watch Nike+の発売などを紹介。iOS 10はすでにアップデート率が60%に達しているという。