NTTドコモに偏る理由の1つは接続料の差

理由の1つは非常にシンプルで、回線を貸すキャリアに対してMVNOが支払う「接続料」が最も安いのが、NTTドコモだからである。特にMVNOが重視しているデータ通信の接続料を見ると、NTTドコモが月額約79万円であるのに対し、auが月額約97万円、ソフトバンクは月額約117万円と、約1.5倍の開きがある。

総務省「モバイル接続料の自己資本利益率の算定に関するワーキングチーム」第1回公開資料より。NTTドコモとソフトバンクでは接続料に約1.5倍の差がある

大半のMVNOは規模が小さい。しかも現在、MVNOの市場は価格競争が非常に激く、各社ともに儲けが少ない状況で戦っている。それだけに多くのMVNOは、キャリアに支払う接続料をできるだけ抑えてサービスを提供したいと考えているのだ。

そうしたことからMVNOは、できるだけ接続料が安いキャリアからネットワークを借りる傾向が強い。それが大半のMVNOが、NTTドコモの回線を選択する大きな理由の1つとなっているわけだ。

もっとも、キャリア間で接続料に大きな開きがあり、MVNOの利用するネットワークがNTTドコモに極端に偏っている現状は、行政側も問題視しているようだ。それゆえ現在、その料金差を縮めるべく、総務省は現在、「モバイルサービスの提供条件・端末に関するフォローアップ会合」にて接続料の見直しに関する議論が進められている。

だが、MVNOがNTTドコモの回線を選ぶ理由は、実は単に接続料が安いからという理由だけではない。もう1つの大きな理由として挙げられるのは、NTTドコモのネットワークが最も制約が少なく、MVNOにとって扱いやすいことである。