ベライゾン買収に向けた努力を続ける
こうした中、10月18日に、ヤフーは2016年第3四半期決算を発表した。収益は10億3100万ドルと、前年同期に比べて400万ドル上昇し、1株あたりの利益は予測の0.14ドルを上回る0.20ドルを記録した。株価も上向きに反応している。
同社がモバイル、ソーシャル、ネイティブ、ビデオといったデスクトップの時代より新しいテクノロジーへの広告に対する投資とビジネス展開を行っている点は実を結びつつある。前年同期に4億2,200万ドルだった売上は、2016年第3四半期は5億2,400億ドルに上昇。また、検索広告も7億300万ドルと、前年同期の5億1,600万ドルから大きく上昇している。
それでも、急速な成長を続けているグーグルとフェイスブックに対して、成長速度の面で遅れを取っている状況は変わらない。これが、ベライゾンによる買収、AOL事業との深い連係によって、大きな変化を生み出すことができるかに注目が集まる。
ヤフーを舵取りしているマリッサ・メイヤーCEOは、「ビジネス強化への努力を続けて、ベライゾンによる買収に向けて準備を進めている」と表明している。
今後の焦点は
現在の段階で、ハッキングに関する詳しい情報は明らかにされていないが、テクノロジー業界から政治も巻き込んで、今後の検証が進んでいくことになるだろう。いくつかの焦点の中で注目されるのは、ヤフー自身がいつ、ハッキングの事実を把握したか、という問題だ。
もしもベライゾンとの買収交渉を行っている過程で、ヤフー経営陣がすでに5億件のハッキングを知っていた場合、買収金額を高くするために隠蔽していたことになる。ハッキング被害が顧客離れやブランド毀損を来せば、当然ヤフーの企業価値は低下するからだ。
加えて、情報セキュリティーの観点では、別の注目もある。誰が、何を目的にして、どのように情報を盗んだのか、という点だ。
ヤフーは当初から、国家が関与するハッキングを指摘している。これは米国では、暗に中国やロシアによるハッキングを表すが、その事実をつかむには至っていない。
そうした中、10月21日には、米国で大規模なサイバー攻撃が観測され、ツイッターやアマゾンがその被害に遭った。米国のインターネットサービスに対する外部からの攻撃は、すでに身近な「解決すべき危機」として認識が拡がっているのだ。