DM200は、語彙数の大幅アップ、文脈に応じた適切な変換、文節区切り語変換の削減、入力ミスを訂正する候補の提示など、パソコン版ATOKに迫る機能を実現しています。変換候補の正確性をDM100とDM200と比較してみると、その差は明らか。もちろんDM200の変換候補が100%正しいわけではないですが、限りなく誤った変換候補に惑わされずに快適に文章入力が可能です。

上がDM100、下がDM200の変換例。DM200は「到着時刻が各停」以外は同音異義語を正確に変換できています

打鍵音も低めで耳にやさしく

また、キーボードの剛性感や打鍵音にも非常に大きな進歩を感じました。キーボードの配列やキーピッチはまったく同じですが、DM200のほうが明らかに剛性感が高く、また打鍵音も低く抑えられています。筆者はPFUの高級キーボード「Happy Hacking Keyboard Professional JP Type-S」を愛用していますが、それと比べてもDM200のキーボードを好ましく感じます。もちろん指に慣れたHappy Hacking Keyboard Professional JP Type-Sのほうが高速にタイピング可能ですが、キーストロークが少ないぶんDM200は疲れが少ないという印象です。

上がDM100、下がDM200のキーボード。配列はまったく同じ。キーピッチもどちらも約17mmと同一です

DM100、DM200の順番にタイピングしてみました。DM100はパシャパシャと甲高い音が鳴りますが、DM200の打鍵音は低音なので耳障りではありません

初の無線LAN搭載、7KBのテキストは約8秒で送信

最後にDM200の無線LAN機能について触れておきましょう。DM200はiOS端末やMacのメモアプリと同期する「ポメラSync」と、Evernoteやメールのアカウントにテキストを送信する「アップロード」機能を搭載しています。今回、2819文字(7KB)のテキストデータを送信してみましたが、ネットワーク接続が完了するまでに約18秒、テキストデータがアップロードされるまでに約8秒かかりました。

ちなみに2万文字(53KB)のテキストデータをアップロードするのにかかった時間は約9秒です。実はアップロードする時間のうち、約6秒はメールのアカウントに接続する時間が占めています。テキストデータが多少大きくなったとしても、トータルのアップロード時間はあまり変わらないわけです。

メニューの「ツール→アップロード」を選ぶと、初回のみネットワーク、アカウント、宛先を設定します。ネットワークには無線LANルーターのSSIDとパスキーを、アカウントにはメールアカウントのホスト名、ユーザー名、パスワードを、宛先には送り先のメールアドレスを登録します。Evernoteの「ツール→アカウント情報→メールの転送先」に表示されているメールアドレスを登録しておけば、DM200からテキストファイルをEvernoteのノートに送れるわけです

「アップロード」で一度に送れるのは1ファイルのみです

「ポメラSync」なら、「pomera_sync」フォルダー内のテキストファイルをDM200とiOS端末、Macそれぞれで編集し、複数のファイルを同時に同期可能ですが、Android端末やWindows PCでは利用できません

複数のテキストファイルをまとめてコピーするなら、SDカードを利用したほうが手っ取り早いです

初代DM10の本体価格は税別26,000円、DM100の本体価格は税別36,000円。それらと比較すると、DM200の税別49,800円という本体価格はどうしても割高に感じます。しかし今回実際にDM100とDM200を使い比べてみて、ATOKの変換効率が飛躍的に高まり、キーボードの剛性感・打鍵感が大きく向上していることを確認しました。

DM200は、「文章を書く」という行為のみに集中したい方にとっては、使い込んだ筆記用具のように代え難い道具になり得るでしょう。

筆者のようなIT系ライターは、画像などを編集しながら執筆するのでDM200のユーザーとしては不向きですが、小説家やコラムニストの方々にとってはぴったりな製品でしょう