料金差の縮小でソフトバンクのMVNOは増えるか
そうした現状を踏まえながら、ワーキングチームでは構成員らが議論を進めている。そして第2回の会合では、現状やはりNTTドコモが、最も携帯電話事業が占める比率が高いことから、当面はNTTドコモの株価をベースにβを算出するのが妥当という流れとなったようだ。
また計測機関に関しては、年数が長いと現在の市況が反映されないことから、3~5年程度の期間で計測するのが妥当という方向性が見えてきている。最終的にはそれらの方法でβを算出した結果を確認し、妥当性を検証した上で結論を打ち出すものと見られる。
今回の接続料見直し議論によって、特に大きく影響を受けるのは、やはり接続料が最も高いソフトバンクであろう。先にも触れた通り、ソフトバンクの回線を用いたMVNOは非常に少ないが、それはある意味、接続料が最も高いことを理由に、MVNOへの回線貸し出しに消極的な姿勢をとっていたが故ともいえる。ソフトバンクは昨年6月に、MVNOを推進するための子会社「ソフトバンクパートナーズ」を設立しているが、特にコンシューマー向けの事業に関しては、目立つ取り組みがあまり出てきていない。
ソフトバンクは、低価格でサービスを提供するワイモバイルブランドを自身で立ち上げており、好調を維持していることから、低価格サービスを展開するMVNOへの回線貸し出しを積極化する理由にも乏しい。それゆえ、飛騨高山ケーブルネットワークのような小規模事業者や、10月12日にANAが提供を開始した「ANA Phone」のような、高価格で付加価値を備えたMVNOに、回線貸し出しを限定したい様子も見られる。
だがかつて付加価値型のMVNOに力を入れ、低価格のMVNOに向けた回線貸し出しに消極的だったKDDIも、現在は低価格をうたうMVNOのいくつかに回線を提供するに至っている。またソフトバンクにレイヤー2接続を申し入れていた日本通信が、交渉が決裂したとして総務省に接続協定に関する命令を申し立てるなど、ソフトバンクに対しても、MVNOの側からネットワーク借り入れを求める声が出てきているようだ。
それだけに、フォローアップ会合で出た結論によって、ソフトバンクとNTTドコモの接続料がどこまで縮まるのか。それによってソフトバンクの回線を借りたいというMVNOがどの程度増え、ソフトバンクがどのような対応をとっていくのかは、大いに注目されるところでもある。まずは接続料に関する議論が出た上で、ソフトバンク側がどのような反応を見せるかを確認したいところだ。