アクロニス・ジャパンから、個人向けバックアップソフトの最新版「Acrionis True Image 2017」が登場。2016年9月には発表会も開催されており、そこで製品説明を行ったAcronis Vice PresidentのGaidar Magdanurov(ガイダー・マグダヌロフ)氏に、より詳しい話を聞いた。
―― 今回の新バージョンでは、Facebook(個人ページ)のバックアップに対応したことが1つのハイライトだと思います。「バックアップ」をSNSの領域まで広げた背景や、狙いをお聞かせください。
マグダヌロフ氏「私たちのビジョンは、お客さまの全デバイス、PC、スマートフォン、タブレット、そしてSNSのアカウントまで含めて、すべてのバックアップを取ることです。どのSNSが重要かを調査したところ、Facebookを挙げる人が最も多かった。ビジネス目的に使っているから、また、写真をはじめとする個人情報が格納されているから、という理由が挙がりました。
現在のFacebookにおいては、間違えてデータを削除した、PCを第三者に触られてデータを失った、不正アクセスによってデータが改ざんされてしまった……、そうした問題が起きています。まずは個人用のFacebookアカウントからバックアップを始めていき、どのように使われているかを確認してから、ビジネス向けにも応用していく予定です。
今のところ、Facebookのデータをダウンロード(バックアップ)できるところまでは実現できました。次のステップとして、データをリカバリ(Facebook上への復元)できるようにしていきたいですね」
―― 先日の発表会でも話題に上りましたが、ローカル側のデータをFacebook上へ復元するために、必要なAPIなどの条件が出そろっていません。Facebookとのやりとりで時期的な話は出ているのでしょうか。
マグダヌロフ氏「Facebook側からは、すでにいくつかのAPIが開示されており、それを使った復元は可能ですが、しっかりとテストされていない部分があります。まだ誰も、Facebookのデータをフルバックアップしたことがないんですね。その環境下で復元すると、どのようなことが起きるか、はっきりしたことが分かっていません。
また、たくさんのバックアップを取るときにFacebook側の振る舞いとして、複数のリクエストをFacebookに送れないという制約も確認しています。データのダウンロードに関して制約が生まれたり、ファイルサイズにも制約が出てきます。大きなサイズの写真などを、我々が望むスピードでFacebookからダウンロードできないこともあります。
Facebookのバックアップとリカバリに関して、現在は最初のバージョンを出した状態です。お客さまの使い方、Facebook側の環境整備や動作といった状況を見ながら、Facebookと交渉してアップロード(復元)できるようにしていきます」
―― True ImageにSNSのバックアップ機能を持たせることは、どんなタイミングで検討を始めたのでしょうか。
マグダヌロフ氏「時期的には2012年から2013年くらいでしょうか。True Imageの新しいビジョンをデザインしながら、お客さまのデータをすべて保護しようと考えていました。
ちょうどそのころ、Acronisの共同創立者であるセルゲイ・ベロウゾフがCEOに戻り、Acronisをクラウドバックアップできる会社することを掲げました。コンシューマ分野では単なるバックアップ機能にとどまらず、個人情報やすべてのデータを保護できるソリューションを提供していこうというビジョンです。
3年前にモバイルデバイスのバックアップ機能を実装し、PCとMacのフルイメージ(編注:内蔵ストレージのイメージバックアップ)をクラウドに保存できるようになりました。そのほかにも様々な新機能が追加されています」