SYNC TRAVELのコンセプトムービーでは、自宅でVRゴーグルを装着し、祖父と孫娘が同じVR映像を見つつ、遠隔海外旅行を体験する姿が描かれていた。KDDIが同サービスを事業化する場合、例えばauショップなどで体験できるコンテンツとして売り出すのか、自宅でも体験可能な商品として売り出すのかは現時点で不明だが、もし自宅向け商品として作り込むことができれば、何らかの理由で海外に出かけるのが困難な人などに訴求できそうだ。家族や友人で同じ映像を見られるのも海外旅行気分を高める上で効果的だろう。ただし、自宅向けコンテンツとして成立させるためには、予約を受け付けて現地ガイドを手配する仕組みなど、整備すべきことも多そうだ。
現地ガイドの存在が不可欠となるため、時間を問わずに海外旅行に出掛けるというわけにはいかないだろうが、SYNC TRAVELがVR×旅行の可能性を感じさせる新サービスであることは確かだ。
VRにビジネスの種を探るKDDI
「KDDIの本業はネットワーク、通信インフラの提供。そこにVRというテクノロジーをのせることで、これまでにない旅行体験が生まれる」。塚本部長は通信会社がVRを活用することで、旅行に限らず、様々なものに付加価値を与えることが可能だと見る。
実際にKDDIは、電話×VR(linked-door)、カラオケ×VR、映画×VRなど、VRを用いた新規事業を次々に始めている。この“掛け算”を様々なジャンルに拡げていけば、「ビジネスとしてのマネタイズも視野に入ってくる」というのが塚本部長の見方だ。まずはVRを用いたコンテンツを手広く扱い、その中から収益化の種を探るというのがKDDIの戦略のようだ。このフットワークの軽さは、VRのような新しい技術に取り組む上で重要な要素だといえるだろう。