MVNOへの対抗策か
ドコモのローエンドモデルの取り扱いは、シェアを伸ばしているMVNOへの対抗策と見てもよさそうだ。
ガイドラインの適用によって、ざっくりと言って、大手キャリアとMVNOは次のような存在になった。大手キャリアは端末・サービスが充実しつつもコストが高い、MVNOは通信料金は安いが、サービス面では大手キャリアほどではないといったものだ。
いわば大手キャリアは高級志向のサービスともいえる状態になってしまった。ガラケーからスマートフォンに乗り換えたくともコストの障壁が立ちはだかる。しかし、MONOの登場によって、通信料金はMVNOに比べて高いとはいえ、導入コストが低下することで、こうした心理的な障壁はかなり低くなるわけだ。
現況から理に適った存在に
そして、MONOの存在はガイドラインの適用、MVNOの台頭という経営環境のなかで理に適った存在ともいえる。
MONOの648円という販売価格は、一定の条件のもとで、端末購入価格の一部をドコモが負担するという「端末購入サポート」を適用した場合の価格であり、制度を利用するには大きく2つの条件を満たさなければならない。
ひとつは、12カ月という規定期間を利用することだ。規定期間外での解約になると、MONOの場合、税込み15,876円の解除料が生じる。
もうひとつは、「カケホーダイプラン(スマホ/タブ)」などの2年契約の料金プランに加入が必須なことだ。12カ月の端末購入サポートの規定期間を経過しても、2年契約が有効な限り、料金プランの解除料も併せてかかることになる。
つまり、短期間での利用には不向きだが、長期的にドコモと契約を続ける場合は、多分のメリットが受けられる仕組みだ。
MVNOが台頭したことで、ドコモは既存のユーザーになるべくドコモのサービスを利用して欲しいと考えている。そのためにドコモはこれまで長期割引を拡充するなどの施策を打ってきたわけだ。
そして、MONOが購入されれば、長期利用者が増えることを意味する。超格安、ローエンドモデルMONOの販売は、ドコモを取り巻く経営環境を俯瞰したうえで同社にとって最善の策といえるものと考えられそうだ。