NTTドコモは19日、2016-2017年冬春新商品のラインナップとして、スマートフォン、フィーチャーフォンなど計13機種を発表した。中でも注目されるのは、ドコモのオリジナルブランドとして展開するスマートフォン「MONO MO-01J」だ。条件はあるものの、一括販売価格はわずか648円(税込み、オンラインショップ価格)。戦略的な価格を匂わせるMONOでドコモは何を狙っているのだろうか。
オリジナルスマホの狙いどころ
「MONO MO-01J」(以下、MONO)は、ドコモがオリジナルブランドとして新たに展開するスマートフォンだ。ドコモが販売する端末は、通常、スマートフォンメーカーと話し合い、双方の意見を取り入れたものが店頭に並ぶ。しかし、今回は別。製造自体はZTEが行うものの、限りなくドコモの意向を反映した端末となる。
ドコモが用意したMONOは、スマートフォン初心者向けの端末となる。MONOは高音質通話のVoLTEに対応し、防水・防塵機能も備えるなど、押さえるところは押さえつつも、ディスプレイ解像度はHD、おサイフケータイやワンセグには非対応となり、削るべきところは削った端末だ。
とはいえ、スペック上は数年前までハイエンドモデルとして活躍できたレベルの端末であり、使用上の問題はなさそうだ。そして、スペックを落とした分、ドコモの端末購入サポートを利用することで、648円という超格安で手に入るのだ。
今なぜ必要なのか
MONOはローエンドモデルに位置づけられる端末となるが、ドコモは、なぜ今になって出したのか。それは今年4月に適用された総務省の「スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン」(以下、ガイドライン)が深く関わりそうだ。
従来、大手携帯電話会社は、一定の条件のもとに割引きを行い、端末の販売価格を実質ゼロ円に近い形で提供してきた。しかし、ガイドラインが適用され、それが禁じ手となった。端末の調達費用に応じて、合理的な額の負担を購入者に求めることが盛り込まれており、結果的に、超格安で利用・導入できるスマホがなくなってしまったわけだ。
そのぽっかりと空いた穴を埋めるのがMONOである。総務省のガイドラインでは、廉価端末に関しての例外的な補足事項があり、MONOはそこに相当し、ガイドラインに抵触しないというのがドコモの認識だ。
ガイドラインでは次のように記されている。「廉価端末(小売・卸売り価格が3万円以下の端末)の場合には、スマートフォンの価格に相当するような行き過ぎた額とならない範囲で、端末購入補助を行うことができる」。
この内容を踏まえた上で、MONOの販売価格の是非については何ともいえないが、ドコモは問題ないと認識しているわけだ。
これが従来のようにハイエンド、ミッドレンジだったらどうか。調達費用に応じた応分の負担を購入者に求めることになるため、実質負担額が数百円というわけにはいかない。ガイドラインによって、ぽっかりと空いた穴を埋めるには、ローエンドモデルが必要だったと考えることができるだろう。
先にも述べたとおり、ローエンドモデルといっても、数年前までは最前線で張ってきた性能を持ち、使用上は問題ないと考えられる端末なのだ。