サムスン電子の「Galaxy Note7」は、Androidスマートフォンのフラッグシップモデルだ。しかし、サムスンは10月11日に、GALAXY Note 7の生産と販売の中止を決め、ファブレットの代表格となるべく登場した製品は、その役割を果たすことなく、大きな負債だけを残すこととなった。
経緯を振り返る
少し経緯を振り返っておこう。Galaxy Note7は米国等で8月19日に発売された。韓国では2日で20万台以上の予約が入り、結果的に250万台の販売を達成していたと見られる。非常に高い需要から、Galaxy Note7は生産が追いつかないほどの好調さを見せた。
そうした中、8月下旬から9月上旬にかけて、Galaxy Note7の発火問題がユーザーから報告されるようになった。これに対して、サムスンは9月2日、製品の販売を中止し、すでに販売された製品の交換に応じる対応を発表した。サムスンは発火の原因を明らかにはしていないが、「バッテリーセルの問題」として、サムスン子会社から、中国のアンペレックス・テクノロジー・リミテッドへと切り替えた。このメーカーはTDKが買収し子会社としており、iPhoneシリーズへのバッテリー供給も行なっている。
9月8日、米国連邦航空局は、Galaxy Note7について、航空機内で電源を入れたり、充電しないよう求めた。Galaxy Note7が米国消費者製品安全委員会で正式にリコールとなったのは9月15日になってからだ。
以降、バッテリー改善品への交換が進んでいたが、2016年10月に入り、交換済みのGalaxy Note7の発火が報告されるようになる。特に重大に受け止められたのは、サウスウェスト航空機内で交換済みのGalaxy Note7が発火したことだった。
米国内では10月10日までに、AT&T、T-Mobile、スプリント、ベライゾン、U.S. Cellularの5大キャリアは、原因が究明されるまでの間、GALAXY Note 7の販売を中止し、サムスンからも正式に、全世界の通信会社や小売店での販売と交換対応の停止を発表した。そして、10月11日にサムスンは顧客の安全確保を理由に、Galaxy Note7の生産を取りやめた。