中古端末業者と協力関係を築くMVNOの狙い
なぜ、MVNOがiPhoneをはじめとした中古端末の販売協力を強化しているのかというと、MVNOが端末ラインアップを拡大したい狙いが大きいといえるだろう。
最近ではSIMフリーでも多くのスマートフォンが市場に投入されており、スマートフォン自体の選択肢は増えてきてはいる。だがサムスン電子の「Galaxy」シリーズのように、SIMフリー端末が国内では存在せずキャリア経由でないと購入できない機種や、iPhoneのように、SIMフリーモデルは存在しても高額で、なおかつMVNOが直接取り扱えないため買いづらいものが、特にハイエンドモデルを主体として多く存在する。
しかしMVNOが扱えない機種であっても、iPhoneのようにユーザーが欲しいという要望が大きいケースは少なからずある。そうした声にMVNO側が応えるためにも、主としてキャリアが販売した端末を買い取り、中古で販売する業者の存在は大きいのだ。
それゆえ、中古販売業者とMVNOが接近する事例は昨年より相次いでいる起きている。例えば昨年4月には、MVNO最大手のNTTコミュニケーションズが、中古スマートフォンを取り扱っているゲオと提携することを発表。SIMフリースマートフォンに加え、ゲオが扱う中古スマートフォンだけでなく、中古スマートフォンとSIMのセットによる割賦販売を実現している。
もっとも中古端末は、誰かが一度使ったものという抵抗感だけでなく、外観・内面の傷や故障、さらにはバッテリー寿命のなどいくつかの問題を抱えているのは事実であり、新品と比べれば購入するユーザー側の不安も大きい。そうした中古端末の流通の妨げになるネガティブ要因を取り払うためにも、セット販売や割賦、さらに保証など、中古端末で利用しやすい環境を整えることにより、ユーザーの抵抗感を減らし購入・利用しやすくする努力が積極的に進められているのである。