シャープは10月3日、翌日の4日から千葉県の幕張メッセで開催する「CEATEC JAPAN 2016」への出展内容について、記者説明会を実施した。同時に参考出品となる「ホームアシスタント(仮名)」も発表。こちらは5万円未満程度の価格帯と、2017年度前半の商品化を目指して開発中だ。CEATECプレスデイの同社ブースとともにレポートする。
AIoTを、一台ずつの家電から住宅全体に広げる構想
シャープブースの今年のテーマは「AIoTを家電からスマートホームへ」となっている。シャープは昨年(2015年)のCEATEC会場で、「AI(人工知能)」と「IoT(モノのインターネット)」を掛け合わせた造語として「AIoT(モノの人工知能化)」を提唱した。「家電をクラウドに接続して人工知能化することで、家電をもっと人に寄り添う存在にする」という、目指すビジョンを一言で表した言葉ともいえる。
このビジョンをベースに、家電という単体のプロダクトをAIoT化するだけでなく、家中の家電はもとより、住設機器やサービスも含めてAIoTしていこうというのが、今年のテーマ「AIoTを家電からスマートホームへ」の主旨だ。
家電やサービスがクラウドを通じて学習することで、住人の生活スタイルに最適化され、使えば使うほどユーザーを理解し、我が家流に成長していく……。その最適化は、ボタン操作や面倒な設定を通じて行われるのではなく、ユーザーとAIの間で音声による自然な会話を通じて自動的に行われるというのだ。
やや堅苦しい言い回しになったが、平たくいうと、「家電がユーザーと会話しながら勝手に使いやすく進化していきますよ」ということ。
キッチンを例に取ると、ユーザーは冷蔵庫やオーブンレンジと献立の相談ができる。冷蔵庫内で賞味期限が近づいている食材を優先的に利用する献立を提案したり、不足している食材の買い物のオススメ、もしくは調達まで行う。さらに、今夜は実家から祖母が遊びに来るといった場合、祖母の家のキッチン家電と連携し、「おばあちゃんのお昼ごはんはお魚だったから、お肉の料理にしましょう」と提案するなど、一個の家を超越した観点から提案してくるようになる。
もっとも、シャープのプロダクトだけでは、カバーし切れない家電分野がいろいろ残る。ユーザーが今後、シャープ製品だけで家庭内の家電をそろえていくというのも、現実的とはいえないだろう。
このため、シャープは他社とのアライアンスによるソリューションも進めており、例えばドアホンや電気錠とのAIoT連携も進めているという。これは、家族の帰宅時にドアホンで表情や声をとらえて変化を察知したり、本人認証して電気錠を解放したり、家族の伝言を伝えたりといったことを実現するものだ。ほかにも各種の見張りセンサーや、HEMSなどともアライアンスしていきたいと意気込む。