走る広告塔としての機能も
もうひとつ、スポーツカーには走る広告塔としての役割もある。スポーツカーは、走りの性能を高めるべく、最先端のテクノロジーを搭載することが多い。デザインについても、ハッチバックやミニバンではなかなか実現できない、ブランドイメージをピュアに表現した形が実現できる。しかも少量生産なので、尖った技術や造形を取り入れやすい。
売れたほうが良いに決まっているけれど、たとえそれほど数が出なくても、ショールームに飾ってあったり、街や山を走っていたりするだけで、そのブランドの技術やデザインをアピールできる。複数のメーカーから、スポーツカーは儲からないという声を聞くけれど、それでも作って売るのはプロモーションとしての効果を期待しているからだ。
新興国市場の攻略にも欠かせないスポーツカー
その期待は、グローバル市場にも向けられている。日本車であっても、軽自動車枠に収まったS660やダイハツ・コペン以外は、多くが世界を見据えて開発されている。新型NSXは開発までグローバル体制で行われた。
欧米は長い歴史を持つスポーツカーを文化として捉えている人が多い。その考えは新興国にも波及していて、スポーツカーに対して羨望のまなざしを送っている。スポーツカーを作っているか否かが、ブランドの評価を左右することもある。グローバルマーケットで戦っていく上で、スポーツカーは欠かせない商品なのだ。