次の図はInVisageの13Mピクセルのイメージセンサのブロックダイヤとチップの写真である。このレベルで見ると、普通のイメージセンサと大差ない。
次の図はシリコンのイメージセンサと量子ドットを使うイメージセンサの感度の比較で、赤線の量子ドットを使うイメージセンサは、シリコンの8倍の光を吸収する。
また、量子ドットはシリコンより多くの電子を蓄えられる。1.1μmのシリコンピクセルでは5000個程度の電子しか蓄えられないが、同じサイズの量子ドットのピクセルは12000個と2.4倍の電子を蓄えられるので、ダイナミックレンジが広く、白飛びが少なくなる。
なお、一眼レフのイメージセンサはピクセルのサイズが16倍大きいので、シリコンでもたくさんの電子を蓄えられる。
次の図の上側の2枚の写真は量子フィルムを使うイメージセンサのもので、下側の2枚は同じ状態で、シリコンのイメージセンサで撮影したものである。シリコンの場合は、女性の鼻の部分の陰影が白くなってしまっているし、教会の窓の部分が白飛びを起こしているが、量子フィルムのほうは、綺麗に見えている。
量子フィルムは光に対する応答は非線形で、その特性はハイライトが当たったときの銀塩フィルムの特性と一致している。そして、細部を見たい場合は、線形応答に変換することができる。
次の図は、左から順にシリコンCMOSイメージセンサで撮った写真、コダックの銀塩フィルム、量子フィルムのイメージセンサで撮った写真である。Webに掲載された記事の写真では判別が難しいが、銀塩と比べるとシリコンのイメージセンサの絵は白っぽく、量子フィルムのイメージセンサの絵は銀塩フィルムに近い。とは言え、量子フィルムセンサも左側の棚の陶器の鮮やかさなどは、まだ、銀塩フィルムに及ばない。
シリコンのイメージセンサを使う場合、ある領域ごとにピクセルの情報をキャプチャして、順次転送して行くことが多い。この場合、画面の中で領域ごとに、撮影のタイミングが少しずつずれることになる。静止画の場合は良いが、次の図の右下のiPhone6の絵のようにカメラが動いている撮影では、本来直線の木や窓枠などが曲がって見えている。
一方、InVisageのイメージセンサでは、全画素を同時にキャプチャするグローバルシャッタ方式を使っているので、上側の写真のようにずれの無い写真が得られる。