秋に抜け毛が急に増えると、「何かの病気かもしれない」などのように疑念を抱く場合もある。そんなときは、「自然な抜け毛」か「病的な抜け毛」かを判断する必要があるが、これは専門医でもなかなか難しいと浜中医師は解説する。

「例えば、円形脱毛症はごそっと毛が抜け落ちますからわかりますが、脱毛症にも種類がたくさんあります。女性に多い『びまん性脱毛症』一つとっても、『抜け毛が慢性的に続いて結果的に頭頂部が薄くなってきました』と話す患者さんもいれば、逆に『いつどこで抜け毛が増えたという印象は特段ないが、徐々に確実に頭頂部が薄くなった』という言い方をされる患者さんもいます。抜け毛の感じ方は人それぞれなので、円形脱毛症以外は自然な抜け毛と脱毛症による抜け毛の見分けがつかないのではないでしょうか」。

多くの症例を診てきた専門のドクターですら、増加する抜け毛が自然なものなのか、何かしら他の原因があるのかを判断するのは困難だという。だとすれば、医学的知識を持ち合わせない普通の人が見分けるのは不可能といってよいだろう。自分でも異常なくらいに脱毛を感じたのであれば、素人判断はせずに医療機関を受診したほうがよい。

加齢による変化を受け入れる姿勢が重要

20代や30代前半は、体調の変化で季節の変動を感じるケースが少なかったかもしれない。だが、30代後半からは否が応でも体からの"サイン"で季節の移り変わりを知るようになる。そして、その"サイン"の一つが抜け毛なのだ。

あまりにも不自然な抜け具合ならば医師に相談する必要があるが、多少目立つぐらいならば加齢変化に伴う自然の摂理として、泰然自若で受け止めよう。

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記事監修: 浜中聡子(はまなか さとこ)

医学博士。北里大学医学部卒業。AACクリニック銀座院長。米国抗加齢医学会専門医、国際アンチエイジング医学会専門医などの資格を多数取得。アンチエイジングと精神神経学の専門家で、常に丁寧な診察で患者に接する。