9月に入ってうだるような暑さも和らぎ、本格的に秋の季節到来となった。秋と聞いて連想しやすいものには「食事」「スポーツ」「芸術」などがあるが、実は「抜け毛」も秋と密接に結びついていることをご存じだろうか。
今回は、ホルモン補充療法などの施術を行い、女性の薄毛にも詳しいAACクリニック銀座の院長・浜中聡子医師に「秋と抜け毛」の関係性について伺った。
栄養・睡眠の不足がさらなる抜け毛を促す
そもそも、なぜ秋に抜け毛が増えるかというと、「人間も犬や猫と一緒で、抜け毛のシーズンがあるからです」と浜中医師は話す。毛が生え変わるサイクルからして、どうしても秋は毛が抜けやすいというわけだ。そのうえで、そこに「夏バテ」という要素が加わることも抜け毛の増加に影響していると指摘する。
「例えば、『夏風邪でとても苦しんだ』とか、『胃腸炎で胃の調子が落ちて食欲が落ちていた』としましょう。そうすると、自然とそうめんや冷や麦などの食べやすい物を摂取するようになってしまい、糖質に栄養素が偏りがちになる一方で、たんぱく質の摂取量が落ちてしまいます。それで髪に栄養が行き届かず、だんだん抜け毛につながるというわけです」。
また、暑い夏にクーラーによる寝冷えを嫌がったり、部屋に冷房がなかったりしたら、暑さで夜中に目が覚めてしまい、質の良い睡眠を妨げることもある。となれば、自然と睡眠不足につながりかねない。栄養や睡眠が不足し、それにひきずられるように疲れがたまっていけば、季節性のサイクルと相まって一層、髪が抜け落ちやすくなってしまうというわけだ。
秋は普段の約2倍の髪が抜けることも
では、具体的に抜け毛が「増える」といっても、どれぐらい増加するのだろうか。浜中医師によると、毎日80~100本前後の毛が抜け落ちるそうだが、秋には「多い人では量が倍ぐらいになるのではないか」と話す。
「毎日洗髪をしていて80~100本前後の毛が抜けるわけですが、洗う回数を減らしたからといって抜け毛が減るわけではありません。むしろ、2日も頭を洗っていなければ、抜け毛はもっと増えることになります」。
また、抜け毛が増える期間は最長で1カ月半ほど続く。その間、いつもより多めに抜けている髪の毛を自宅やオフィスで毎日見るわけだが、髪が長いとどうしても抜け毛が目立ってしまう。そして、その落ちた髪を見るたびに「ちょっと頭皮が危ないかも……」などの不安やストレスにさいなまれてしまうこともある。
そのため、秋に思い切って髪を短くする選択もお勧め。毛先が何かに引っかかって抜けるリスクが低減できるメリットもあるため、特に髪が長い女性の場合は一考に値すると言えるだろう。