「女性活躍推進法」が施行され、ますます女性が活躍する社会が期待されている。しかし企業によってその進捗度合いはまちまち。主役となる女性も現場で様々な悩みを抱えている。そこで本連載は、自身も子育てをしながら企あ業に勤めた経験を持ち、現在は「女性のリーダーシップ」育成研修など、企業の女性活躍推進のサポートを行う杉浦里多が、企業が乗り越えてきた課題と、そこで働き続ける女性社員の生の声を通じてビジネスの現場で起こり得る課題を提示、解決のヒントを提示する。今回が2回目となる。
・第一回「P&Gの経営戦略に女性活躍が必要だった理由はこちら |
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著者が相談を受ける企業の中には、社会の流れに乗って「ダイバーシティ室」は作ったが、上層部が本気で考えておらず丸投げされている、と嘆く担当者も少なくない。そんな中、沖電気工業はトップダウンで力強く改革を進めている企業の1つだ。
「働き続けやすい」と「活躍しやすい」は別
日本の大企業は手厚く、働き続けやすい。だから、中にいる社員は男女問わず、「特に問題がないのではないか、今までのままで良いのではないか」、と思ってしまいがちで、なかなか意識改革が進まない・・・と頭を抱える企業も多い。
135年の歴史を誇る沖電気工業(以下、OKI)は、日本で最初に電話機を作った通信機器のメーカーだ。模範的な大企業らしく、早くから両立支援制度を充実させてきた(時短勤務、産休育休、在宅勤務、子育てや介護のための目的別休暇など)。平均勤続年数は男性が20.5年、女性が20.4年とほぼ同じ。育児休暇取得率は100%、育児休暇復帰率98%という驚異的な数字になっている。
【【OKIの女性活躍の歩み】 (女性活躍取り組みスタート)2013年10月 人事部内に専任組織「ダイバーシティ 推進チーム」を設置 (トップダウンからの発信)2014年 社長による女性活躍推進宣言 部門ごとに幹部への説明会、女性向けキャリアセミナーの実施 (幹部の意識統一のための改革)2015年 全幹部社員向け「ダイバーシティ・マネジメントセミナー」の実施 女性活躍推進法で2020年までに女性幹部社員比率を現在の2倍(2%から4%)に設定 |
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「男性も女性も、働きやすいと言い、業績も悪くはない。なぜ変わる必要があるのか。」 OKIが女性活躍推進に本格的に取り組み始めたのは、2013年10月。中期経営計画の人材強化策に「女性活躍推進」を掲げ、人事部内に専任組織「ダイバーシティ推進チーム」を設置した。
「早くから両立支援制度の充実など『働き続けやすいしくみ』は整えてきましたが、幹部社員まで昇進する女性は少なかった。『活躍できるしくみ』が充分ではなかったということです。」(ダイバーシティ推進チームの川井茂子さん)。
社会環境の変化に対応し、持続的に発展し続けていくためには、多様な人材がそれぞれの能力を最大限発揮することが不可欠と考えてはいたものの、現在の同社は、正社員の女性比率は9.8%、女性幹部社員比率2.4%にとどまっている。
OKIは、2020年までに女性幹部社員比率を4%へ倍増する目標を掲げる。今まさに「活躍」に舵を切ったところだ。