キヤノンは9月15日、ミラーレスカメラの最上位モデル「EOS M5」の発表会を東京・品川のキヤノンホール Sにて開催した。EOS M5は、これまでの同社ミラーレス製品に対するユーザーの不満を一気に解消した製品であるという。

発表された新製品「EOS M5」。キヤノンオンラインショップにおける価格は、ボディ単体で112,500円。そのほか3種類のレンズキットを展開する

EOS Mシリーズの問題点を一掃

まず最初にキヤノンマーケティングジャパン 取締役 常務執行役員 イメージングシステムカンパニープレジデントである八木耕一氏氏がカメラ市場の動向と「EOS M5」のマーケティング戦略について語った。

キヤノンマーケティングジャパン 取締役 常務執行役員 イメージングシステムカンパニープレジデント 八木耕一氏

八木氏によると、レンズ交換式カメラの市場動向は年々厳しくなっており、国内出荷台数の推移を示したグラフを前に「2016年については、前年度の2割減を想定している」と説明した。そのような中にあってキヤノンは、3月に「EOS 80D」、4月に「EOS-1D X Mark II」、9月には「EOS 5D Mark IV」と魅力ある新製品を次々に投入し、市場の活性化を図ったという。

続けて、デジタル一眼レフカメラ全体において、同社はシェア50%以上を確保しており、ミラーレスカメラにおいても新機種を投入するたびにシェアを拡大していると説明し、新製品「EOS M5」を発表した。

壇上で披露されたEOS M5。新レンズのEF-M18-150mm F3.5-6.3 IS STMを装着している。レビュー記事はこちらに掲載

EOS M5はミラーレスカメラのさらなるシェア拡大を狙う製品であり、EOS M3の上位モデルにあたる。開発にあたっては、すでにミラーレスカメラを所持しているユーザーをターゲットに設定。下表のように新しい技術と機能によって、従来モデルの問題点を徹底的に解消したモデルに仕上げたとのことだ。

■従来モデルの問題点   ■問題を解決するための新技術など
オートフォーカスが遅い デュアルピクセルCMOS AFをミラーレス初搭載
暗いシーンが綺麗に撮れない 約2,420万画素APS-C CMOSセンサーとDIGIC 7
モニターで撮影しづらい 内蔵EVF (約236万ドット有機EL)
直観的な操作ができない 新設計の電子ダイヤル
もっと表現の幅を広げたい 豊富なEFレンズ、EF-Mレンズ群

従来モデルに対する不満 (左) をデュアルピクセルCMOS AF技術などによって徹底的につぶしていった (右)

また、EOS M5のレンズキットにも採用した「EF-M18-150mm F3.5-6.3 IS STM」も同時に発表。35mm換算で29~240mmまでの焦点距離をサポートするこの高倍率ズームレンズは、表現の幅を広げたいというニーズに応えて、EF-Mマウントの新ラインナップに加わる。

EF-M18-150mm F3.5-6.3 IS STMは、シルバーとグラファイトの2色が用意される

「EF-M18-150mm F3.5-6.3 IS STM」は、EF-Mレンズ初の高倍率ズームレンズ。EOS M5と同時に発売される

レンズ交換式カメラの国内出荷台数。残念ながら減少基調にある

ミドルクラスの一眼レフカメラにおいてシェアNo.1を快走中のEOS 80D

EOS-1D X Mark IIはリオ五輪の報道現場からも高い評価を得ている

EOS 5D Mark IV、発売初月の出荷台数は前モデルMark IIIの1.5倍にのぼる手ごたえとのこと

2016年1月~8月の同社のシェア。デジタル一眼レフとミラーレスを合わせた部門でも1位となっている