ソニー・インタラクティブエンタテインメントジャパンアジア(SIEJA)が開催した、国内のプレイステーションビジネスに関する販売戦略発表会「2016 PlayStation Press Conference in Japan」。発売が間近に迫るプレイステーションVR(PS VR)についてのプレゼンは、ゲーム以外の分野でもVRの可能性を感じさせる内容だった。ゲーマー以外の需要を開拓することについてもソニーは真剣なようだ。

これまでに事前予約の受け付けは2度行われたが、いずれも即完売だったPS VR。数量限定での予約再開がアナウンスされたが、発売日に手に入れるには、今回が最後のチャンスになるとのことだった

非ゲーマー開拓のカギを握る非ゲームコンテンツ

10月13日の発売を前に、すでに230社以上のゲーム会社(独立系開発者含む、2016年3月時点)が参画を表明しているPS VR。発売から2016年末までに50本以上のタイトルが発売予定となるなど、ゲーム体験の拡張を望むゲーマーにとっては発売が待ち遠しいVRゴーグルだが、ゲーム以外のコンテンツにより、ゲーマー以外の層をどのくらい開拓できるかは気になるところだ。

「新しいゲーム体験に加え、音楽、ドラマ、舞台、ドキュメンタリーといった、様々な体験を提供すべく準備を進めている」。カンファレンスに登壇したSIEJAプレジデントの盛田厚氏は、PS VRで提供する様々なコンテンツを開発していると言明。プレゼンテーションのデモ映像には、ゲーム以外の様々なVRコンテンツが登場した。

PS VRが提示する様々な可能性

ソニー・ミュージックレーベルズは、所属アーティスト「L'Arc~en~Ciel」とゲーム「バイオハザード」のコラボ企画としてVRのミュージックビデオを制作。音楽のプロモーションにVRを活用する1つの方向性を示した。

現時点でもプレイステーションで遊べるカラオケソフト「JOYSOUND.TV Plus」は、VR対応後の新たな楽しみ方を提示した。デモ映像では「ゴールデンボンバー」が出演するVR映像にプレイヤーが入り込み、彼らと一緒に歌を楽しむといったような使い方を見ることができた。

ソニー・ミュージックエンタテインメントが開発中の「anywhereVR」は、VR映像に自分のスマートフォンの画面を映し出し、「リラックスできる映像とBGM」を楽しみながらスマホを操作できるソフトだ。ゴーグルをつけた状態でスマホをチェックすることが技術的に可能なのであれば、例えば同じVR動画を見つつ、知り合いとSNSで感想を言い合うといったような使い方も考えられそうだ。

このほか、PS VRでは世界遺産を巡ったり、アニメの世界に入ったり、演劇の公演を舞台上で鑑賞したり、「シン・ゴジラ」の大きさを感じられるような映像を楽しめたりと、色々なことが可能になるようだ。デモ映像では各コンテンツを垣間見ることができただけだが、VRで拡がるプレイステーションの可能性は確かに感じることができた。

L'Arc~en~CielするVRミュージックビデオはカプコンの技術を活用(写真左)。anywhereVR(写真右)ではゴーグルをつけたままスマホ画面をチェックできる

PCにつないで使うVRゴーグルに比べ、ゲーム機であるプレイステーションと連動するPS VRは、用途がゲームに偏ると思われがちな部分があった。しかし、プレイステーション4(PS4)ではゲーム以外のVRコンテンツが充実していきそうな情勢だし、既存コンテンツのなかにもVRと相性の良さそうなものが数多く存在する。