レビュー期間中はwatchOS 3が配信されていなかったことから、バックグラウンドでの動作や新しいAPIを活かしたアプリの試用には至らなかった。
ただ、内蔵されているアプリ群は非常に高速に起動し、また一度起動したアプリはすぐに切り替えることができる仕組みは、watchOS 3とともに、デュアルコア化されたS2の恩恵だろう。
高速なプロセッサとGPSの搭載は、アプリ開発者に対して、より多くのアイディアを与えることになる。Appleのプレスイベントでは、ヨセミテ国立公園をハイキングするガイドアプリのデモを行っていた。
ケータイの電波が入らないエリアでも、あらかじめ読み込んだルートガイドと、GPSさえあれば、手首だけできちんとナビゲートし、また名勝を見逃すこともない。 自分の行動と場所や時間をより深く紐付けるアイディア、すなわちライフログ的な考え方には期待している。
加えて、現在試すことはできないが、Apple Payの日本導入も10月に控えている。FeliCaのサポートは、Apple Watch Series 2の日本での位置づけを大きく変化させるだろう。 SuicaやQUICPay、iDが利用できる駅や店舗では、Apple Watchだけで電車に乗ったり買い物をしたりできるのだ。これも、エクササイズに相性が良いし、手首をかざして改札を通過する、といった使い方も、速く試してみたいところだ。
処理性能向上とバッテリーの大容量化、防水、GPS、そしてFaliCaのサポート。生活の中で「時計」がここまで多彩に役割を果たしてくれる可能性を見せてくれたApple Watch Series 2は、今後より大きな魅力を放つことになるだろう。
松村太郎(まつむらたろう)
1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura