次に、栃谷氏が「Photoshop Lightroom CC」と「Adobe Photoshop CC」から、水族館で撮影した写真に使える機能をデモンストレーションを交えて紹介。Lightroomはデジタル一眼カメラや高級コンパクトデジタルカメラで撮影できる「RAW」ファイルを管理・補正できるもので、Photoshopは画像全般を編集加工できるプロ向けのソフトだ。フォトグラファー向けとして、この2つのソフトが使える月額980円(税別)のCreative Cloudフォトグラフィプランが用意されている。

LightroomとPhotoshopで水族館写真をブラッシュアップ

まずLightroomの便利な機能として、「スポット修正」「かすみの除去」「自動補正」「ノイズ軽減」が紹介された。

「スポット修正」は、指定した場所に任意の場所からコピーしたものをなじませながら貼りつける機能。水族館ではエサや排出物などがふわふわと漂っていることが多いので、写真内のゴミを消すために使える。

「かすみの除去」は、モヤがかかっている風景をクリアにしたい場合に使う機能だが、水族館の写真をハッキリさせたいときにも有効だ。「飛行機の中から撮影した景色もクリアにできます」とは栃谷氏のコメント。

「自動補正」はその名のとおり、ワンクリックでホワイトバランスや明るさなどを適正にしてくれる機能で、今回のような暗いシーンでは手軽に補正してくれるので非常に有用とのこと。ただし、暗いシーンを明るくするとノイズも気になることから、「ノイズ軽減」も同時に使うとよいとのことだった。

スポット修正でクラゲの右にあるゴミを消し、かすみの除去をほどこした例

自動補正を適用して、ノイズを軽減した例。左が元画像で右が補正後

Photoshopでは「虹彩絞りぼかし」の演出について解説があった。虹彩絞りぼかしは、円または楕円状にぼかしの領域や度合いを指定して加工できるもので、主役以外の被写体をぼかすことでスッキリ見せることが可能だ。群れている小さな生物の写真に効果的な機能としてピックアップされた。

虹彩絞りぼかしで、真ん中の被写体以外をぼかした例

サンシャイン水族館で筆者も実践

今回はセミナーを受講するにあたり、ソニーの「α7S II」に「Vario-Tessar T* FE 24-70mm F4 ZA OSS」の組み合わせで臨んだ。α7S IIはフルサイズ Exmor CMOSセンサーに5軸手ブレ補正機構、常用でISO100~102400と高感度に強いハイスペック機だ。撮影モードはシャッター速度優先にし、ISO感度はオートで上限を25600に設定した。画像はLightroomの自動補正を使用した。

ソニー「α7S II」と「Vario-Tessar T* FE 24-70mm F4 ZA OSS」

ライトが差し込む位置にいたのでオレンジが鮮やかに。F4 1/250秒 ISO1250 露出補正±0 焦点距離70mm

2匹のクラゲの触手がライトで美しく浮かび上がったところでシャッターを切る。F4 1/250秒 ISO400 露出補正±0 焦点距離49mm

生き物が被写体だと待つことも重要。奥からゆらりと大物エイが登場した瞬間。F4 1/400秒 ISO1000 露出補正±0 焦点距離24mm

涼しい顔して泳いでいるが、大物が近寄ってきてあわや!?という瞬間をボケで演出。F4 1/400秒 ISO500 露出補正±0 焦点距離70mm

空中に設けた水路「サンシャインアクアリング」を泳ぐペンギンにイルミネーションの映り込みをプラス。F4 1/400秒 ISO25600 露出補正±0 焦点距離70mm

Lightroomの「かすみの除去」を試すのにうってつけのイマイチ写真。F4 1/250秒 ISO8000 露出補正±0 焦点距離68mm

Lightroomで「かすみの除去」を施すとこの通り。色彩が強調されつつもベタッとした感じになりにくい

水族館撮影のマナーとポイント

最後に、今回の説明会では、水族館での撮影マナーなどについても触れられた。以下を参考に守るよう心がけたい。

  • カメラを肩に掛ける場合は、レンズが外に向かないように
  • 内蔵フラッシュは使わない
  • 三脚は必要なし! 泳ぎ回る魚を撮るためにはむしろ不要
  • 派手な色の服や大きな文字が書いてある服、キラキラするアクセサリーなどは反射して映り込んでしまうので注意
  • 同じ水槽で長時間撮影したい場合は、周りをよく見て他のお客さんの邪魔にならないように

移動中にレンズが人や水槽に当たるのを防ぐため、レンズを内側に向けて持つ