ライドシェアは、個々の自動車の有効活用を促進するアプリであり、自動車販売台数の低下につながる。ではそんなライドシェアと、なぜメーカーは手を結ぶのか。これについてはGMがLyftとの提携時に明らかにしている。米国ではライドシェアのドライバーになりたいが車両を持っていない人もおり、シカゴだけで6万人に達したという。こうした人々に対する車両提供がビジネスとして成り立つと見込んだようだ。
トヨタはUberの地元米国でも、自家用車、タクシー問わず広く使われている。そこにライドシェアのドライバーという、確実性の高い需要があることは大きいはずだ。
さらにGMは、Lyftとの提携発表の場で興味深い発言をしている。最終目標は自動運転ライドシェアの実現だというのだ。自動運転などずっと先の話だと考えている読者もいるだろう。しかしそれは自家用車に限った話だ。ライドシェアをベースに考えれば、はるかに現実的になってくる。
配車サービスとの提携は自動運転社会を見越した動き?
自動運転を語る際によく使われているのが、米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)が制定したレベル1~4という指標だ。レベル1はアクセル、ブレーキ、ステアリングのいずれかの自動化、レベル2は複数を自動化した。レベル3はアクセル、ブレーキ、ステアリングのすべてを自動化し、必要な場合、人間がサポートする。最上級のレベル4が完全自動運転だ。
レベル2はすでに一部の市販車に搭載されている。しかしそこからレベル3へとステップアップすると、運転主体は人間から人工知能にスイッチし、人間はドライバーからオペレーターになる。そのときに自家用車のオーナーが、オペレーターとしての任務をきちんと果たしてくれるかについては疑問が残る。
その点ライドシェアは、お金をもらって人を運ぶプロのドライバーであり、乗客から常に見られているわけだから、オペレーターとしての任務をこなしてくれる可能性が高い。つまりライドシェアは自動運転と相性が良い。トヨタもUberも自動運転の研究開発を行っており、最終的にはここを目指していくと思われる。