視力を回復させる食べものはあるのだろうか

近年は日本でもサプリメントがドラッグストアなどで手軽に購入できるようになってきた。マルチビタミンやカルシウム、DHAなどのさまざまな種類があるが、ブルーベリーもサプリメントの中ではメジャーな部類と言える。そして、このブルーベリーは「目に良い」というイメージを持っている人も少なくないだろう。

では、ブルーベリーは本当に目に良いのだろうか。そしてそもそも、「目に良い」とされる食材は視力回復効果が期待できるのだろうか。あまきクリニック院長の味木幸医師にうかがってみた。

「ブルーベリーは目に良い」は本当か

まず、視力を回復できる食材の有無に関してだが、味木医師は「完全に低下した視力を回復できる食材はない」と話す。ただ、視力低下(近視)につながる一歩手前の「仮性近視」の症状を和らげ、視力低下リスクを低減する食材(成分)はあるという。

「それはアスタキサンチンや各種アントシアニン、ポリフェノールです。アスタキサンチンを含有する代表的な食材は紅ザケやいくらで、アントシアニンを含むのはブルーベリー、そしてポリフェノールは赤ワインに含有されています」と味木医師。ブルーベリーが目に良いこと自体は間違いないようだ。

実際、これらの成分を配合し、科学的根拠(エビデンス)を有する製品も世に出回っている。一例がアスタキサンチンを関与成分とする機能性表示食品だ。

同食品は、食品関連事業者の責任において、特定の保健の目的が期待できる(健康の維持および増進に役立つ)という機能性を表示したもの。安全性や機能性に関する一定の科学的根拠(エビデンス)を消費者庁に届け出て受理されれば販売できる。

例えば、2015年8月発売の伊藤園の「ブルーベリー & アサイーMix」は「本品にはアスタキサンチンが含まれます。アスタキサンチンには眼のピント調節機能をサポートし、眼の調子を整える機能があると報告されています。」との文言が表記されている。特定保健用食品には及ばないが、行政による一定の"お墨付き"をアスタキサンチンは得ていると言える。

「アスタキサンチンは脳と目の中でも働くことができる数少ない抗酸化物質です。脳と目は、生命活動を維持するために最も大切な器官なので、その入り口にそれぞれ『血液脳関門』『血液網膜関門』というものが設けられています。そこが関所のように目にとって不要な物質をすべてシャットアウトしているのですが、アスタキサンチンはここを通過できます。だから、脳と目にダイレクトに作用できるのです」。

アスタキサンチンは仮性近視の視力回復のほか、眼精疲労加齢黄斑変性、白内障、網膜症などに対する有効性も期待されている。そしてもちろん、ポリフェノールやブルーベリーの仮性近視への視力回復を裏付けるデータもある。