iPhone 7、10の進化点

キーノートでは、iPhoen 7シリーズを10のポイントから紹介した。

1つめは「デザイン」。新色のジェットブラックは、新たな酸化皮膜処理と研磨加工によってガラスからシームレスに続いているような高光沢を実現している。もう1つの新色であるブラックはわび・さびが感じられるような深みのあるマット仕上げの黒である。同じ黒でありながら、2つの黒は全く異なる黒であり、そしてどちらも黒を極めたこだわりの黒である。ゴールドやローズゴールド、シルバーも良い色だが、iPhone 6シリーズと6sシリーズを経て熟成を重ねた筐体デザインにはこだわり抜いた黒がよく似合う。

ガラスと一体化したような高光沢のジェットブラック

落ち着いた色合いで深みのあるブラック

2つめはソリッドステートボタンになった「ホームボタン」。これにより反応が向上し、カスタマイズも可能になる。ソリッドボタンは耐久性を向上させる変更でもあり、iPhone 7シリーズはIP67準拠の防塵・耐水性能を有する(ポイント3)。

ユーザーの要望が多かった防塵・防滴に対応

4番目は「カメラ」。ついに4.7インチモデル(iPhone 7)にも光学式手ぶれ補正が搭載された。メインカメラはF1.8の明るいレンズを装備、新しいセンサーは60%高速で30%効率的に動作し、新しいイメージ信号プロセッサが前モデルよりも2倍のスループットでイメージを処理する。

明るいレンズと光学式手ぶれ補正で暗所での撮影に強くなった

新しいイメージ信号プロセッサは10億を超えるオペレーションを25ミリセカンドで完了させる

iPhone 7 Plusは広角と望遠の2つの12メガピクセルカメラを背面に搭載する。これによって2倍光学ズームが可能になるほか、2つのカメラからの情報が新たなイメージ作りを可能にする。その一例として、効果的なボケを背景に加える被写界深度エフェクトのスニークピークを行った。スマートフォンのカメラ性能の向上は近年、普及帯のコンパクトデジタルカメラと比較されるほどになっていたが、iPhoneは一眼レフでしか作れなかったような写真にも挑み始めた。

iPhone 7 Plusは広角と望遠の2つのカメラを搭載

2倍の光学ズームとデジタルズームの併用で10倍の拡大が可能

Mボケを活かした被写界深度エフェクトのサンプル写真、年内にリリースされるアップデートで利用できるようになる

5番目のポイントは明るくより鮮やかな表示が可能になった「Retina HDディスプレイ」。そして6番目は「オーディオ」、上部と下部に2つのスピーカーを搭載し、本体を横にすることでステレオ音声を楽しめる。

7番目は「EarPods」。3.5ミリ・ヘッドフォンジャックが無くなり、付属のEarPodsヘッドセットがLightning接続になった。ヘッドフォンジャックを必要としているユーザーが数多く存在するのはAppleも分かっている。しかし、限られた機能のアナログポートのために大きなスペースを犠牲にし続ける状況から移行する「勇気」を持つべきだと、Schiller氏はヘッドフォンジャック省力の理由を説明した。Lightningはデジタルオーディオコネクタとして設計されており、ノイズキャンセリング機能付きヘッドフォンやスピーカーなどLightning接続のメリットを活かしたデバイスがすでに多数存在する。

デジタルオーディオコネクタとして設計されたLightningへの移行を推奨

現時点では3.5ミリ・ヘッドフォンジャックアダプターも同梱

8番目は「ワイヤレス」。ケーブルはモバイルデバイスの使い勝手を妨げるものである。デジタルオーディオの未来を考えると、ワイヤレスに置き換えることでモバイルユーザーの自由度が広がる。しかし、ワイヤレスデバイスは充電を必要とし、またコネクタを端子に差し込むだけの有線デバイスに比べると接続設定が面倒である。これらワイヤレスの手間を解消し、ワイヤレスのメリットのみをユーザーが享受できるようにするのが10月下旬に発売するワイヤレスヘッドセット「AirPods」だ。EarPodsと同じスタイルのコンパクトなデザインだが、その中に「W1」という専用チップ、光学センサー、加速度センサー、ビームフォーミングマイク、アンテナ、バッテリーなどを備えており、センサー類が連係してシンプルな使い勝手を実現する。たとえば、充電ケースを開くと自動的にオンになり、iPhoneやApple Watchにすぐに接続する。音楽再生中に耳から外すと自動的に再生が一時停止になる。

小さなインイヤー型ヘッドフォンにW1チップ、様々なセンサーを搭載

Everyone Can CodeがSwift Playgroundsでのスローガン

充電ケースに入れて手軽に充電、iPhoneとの接続も簡単

9番目は「Apple Pay」。10月下旬に、FaliCaをサポートして日本で提供開始になる。日本市場限定の発表であり、会場の反応は静かだったが、10のポイントの1つとして紹介したところにAppleの意気込みが表れていた。

日本でのApple Pay開始に合わせて、マップが日本の乗り換え案内に対応

最後は「パフォーマンス」。A10 Fusionプロセッサは、A9からCPUパフォーマンスが40%向上した。これはオリジナルiPhoneの120倍に相当する。A10は速いだけではない。4つのコアのうち2つが高性能コアで、残る2つは省電力動作に優れた高効率コアになっている。これらを使い分けることで電力効率に優れた動作を実現している。Schiller氏によると、過去のiPhoneと比べてiPhone 7シリーズのバッテリー使用時間は最も長く、iPhone 6sからiPhone 7にアップグレードした場合、同じ一般的な使用方法で2時間ほども伸びる。