ピルより副作用・血栓症のリスクが低い

注目されている理由は、費用の問題だけではありません。ミレーナには、同様に過多月経の治療や避妊目的として多く使われている低用量ピルと比べて、いくつか大きなメリットがあるのです。 一つは、低用量ピルで生じることがある頭痛や吐き気、むくみなどの副作用が出にくいこと。これは、ミレーナは子宮内でホルモンを放出するため、血液中にホルモンの成分が入りにくいためです。

もう一つのメリットは、血栓症のリスクがないこと。ピルは、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモンの2種のホルモンを含む薬剤ですが、そのうち卵胞ホルモンには、血液を固めやすくする作用があります。そのためピルは、過多月経の症状があっても、高血圧や肥満気味、喫煙しているなど、血栓症リスクがある人には通常は処方されません。一方のミレーナは、黄体ホルモンのみを付加しているため、それらのリスクがある人でも使用が可能な場合があります。

ただしミレーナでも、はじめの1~3カ月程度は、出血や下腹部痛のような副作用が起こることがあります。さらに、まれではありますが、使用中に外れる可能性もないとはいえません。挿入後は定期的に検診を受け、ミレーナの位置を確認することが不可欠です。また、挿入中に痛みや違和感を覚えたときは、早めに受診することが重要です。

過多月経や生理痛に悩む人や、それらの治療のために使っている低用量ピルが合わないと感じる人は、ミレーナを使うことで悩みが解消される可能性があります。治療の選択肢としてのミレーナに興味を持った人は、まずは信頼できる婦人科医に相談してみましょう。

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記事監修: 星合明 医師

星合勝どきクリニック 院長
1986年獨協医科大学・医学部医学科卒業。1992年獨協医科大学大学院卒業。同年獨協医科大学付属病院産婦人科臨床助手。1994年より獨協医科大学産婦人科教室非常勤講師。その後、文京区星合産婦人科病院副院長を経て2001年2月より、東京都中央区勝どきにて「星合勝どきクリニック」を開設、医長を務める。