『ウルトラマンG』から約3年後となる1993年、アメリカ・ハリウッドのSFXチームと円谷プロ、バンダイビジュアルが力を合わせて生み出した作品が『ウルトラマンパワード』である。
1993年といえば、円谷プロによる連続テレビシリーズでは久々となる特撮ヒーロー『電光超人グリッドマン』が製作された年。同じころ、歴代シリーズの名場面とオリジナル映像で構成された『ウルトラマンVS仮面ライダー』というスペシャルなビデオ作品も作られている。また映画の世界では、1991年に『ゴジラVSキングギドラ』、1992年に『ゴジラVSモスラ』が大ヒットし、1993年末には『ゴジラVSメカゴジラ』の公開が控えていた。
さらに、アメリカでは恐竜たちの姿をCGで生物感たっぷりに表現した大作『ジュラシック・パーク』が公開され、大評判を取っていたころ。90年代前半は、往年のヒットキャラクターが最新の映像テクニックによってリニューアルされて甦り、リアルタイムを生きる子どもたちに新鮮な衝撃を与えていた時代と呼んでも差し支えないだろう。
そんな中、アメリカを舞台に第1作『ウルトラマン』を完全リメイクするという趣旨で企画された『ウルトラマンパワード』では、ウルトラマンおよび人気ウルトラ怪獣を前田真宏氏が大胆なまでにリファインし、独自の生物的ディティールをほどこした「パワードウルトラ怪獣」を創造している。『G』と同じく、どこまでも広い野外ロケーションで撮影されたウルトラマンパワードと怪獣の立ち回りは、海外のネイチャードキュメンタリー番組を観ているかのような独特のリアリズムを生んだ。パワード怪獣たちはほとんどの個体がバンダイより「ウルトラ怪獣シリーズ」としてソフビ商品化され、従来のウルトラ怪獣とはまた異なる魅力を持った存在として多くの子どもたちを喜ばせた。
ビデオシリーズ『ウルトラマンパワード』は、日本において1993年12月に第1巻がセル&レンタルされ、以後翌年8月までに全6巻がリリースされた。本作では字幕スーパー版が作られず、すべて日本語吹き替え版のみであった。ウルトラマンパワードに体を貸しているW.I.N.R.(ウイナー)隊員ケンイチ・カイを演じたのは、まだ日本で俳優活動を始める以前のケイン・コスギ(日本語版では声優の森川智之がカイの声を演じた)。ケインはこのとき日本語が得意ではなかったが、1994年には東映の『忍者戦隊カクレンジャー』にニンジャブラック・ジライヤ役でレギュラー出演することになり、1年間の撮影期間で日本語を見事マスターしている。ちなみに彼の父親であり、アメリカで多くの「ニンジャ」映画に出演したアクションスター、ショー・コスギは本作の日本語版で、ウルトラマンパワードの声を演じている。
海外を舞台にした新感覚の「ウルトラマン」シリーズ2作品は、1995年に『ウルトラマンパワード』『ウルトラマンG』の順番で地上波放送(TBS)を果たす。翌年の1996年には異色のコミカルウルトラヒーロー映画『ウルトラマンゼアス』公開に続き、『80』以来15年ぶりの連続テレビシリーズ『ウルトラマンティガ』の放送が開始(毎日放送、TBS系全国ネット)され、「ウルトラマン」シリーズは新たなる発展を遂げることになる。今回のBlu-rayソフト化は、20数年前に『G』『パワード』を楽しんでいたファンにとって、まさしく待望の出来事。ぜひBlu-rayの最高画質、最高音質で思いっきり作品世界に浸りきってほしい。
「ウルトラマンG Blu-ray BOX」
収録話数:第1話~第13話/劇場版2作品
価格: 18,900円(税別)
発売日: 2017年1月27日
発売: 円谷プロダクション
販売: バンダイビジュアル
「ウルトラマンパワード Blu-ray BOX」
収録話数:第1話~第13話
価格: 18,900円(税別)
発売日: 2017年3月24日
発売: 円谷プロダクション
販売: バンダイビジュアル
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