スマートフォン販売減時代の戦略
サムスンは、新興国から先進国までをカバーする最大のスマートフォンメーカーだ。IDCによると、サムスンは2016年第2四半期に7700万台を販売した。この数字は、前年同期比で5%増。ライバルのアップルは、300ドル台のスマートフォンiPhone SEをリリースしたが、前述のデータでは前年同期比15%減と落ち込んでいる。
このことからも分かるとおり、主戦場は低価格モデルではなく、650ドル以上の上位機種であり、現状販売台数拡大への厳しさがにじむ。
既に導入しているiPhone Upgrade Program(毎年新型iPhoneに乗り換えられる月額制プラン)による販売台数の確保とともに、より画面が大きな(100ドル高い)iPhone 7 Plusにデュアルカメラや濃色などを追加して魅力を高める施策を打ち出すことになるだろう。
買い換えサイクルの短縮と、平均販売価格を上昇させることで、「販売減でも売上増」を目指していくことになる。ちなみに高付加価値戦略は、iPad Pro 9.7インチモデルの投入によって、既にiPadカテゴリでは起きつつある。
IDCの別のデータによると、2016年のスマートフォン出荷台数の予測は、15億台から14億8000万台へ下方修正され、前年比3.1%増の低成長になるという。2014年は27.8%増、2015年は10.5%増と出荷台数の急拡大はストップし、低成長時代に入った。日本やカナダと行った成熟市場では、前年割れが予測される。
ユーザーがスペックに敏感に反応してくれることを確認したサムスン。今後の課題は、新興国のユーザーをいかに上位機種に移行させていくかだ。これには、オッポ、ビーボといった中国メーカーによる低価格市場での急成長による圧迫があるためだ。