東海林は比奈子を救いたい

――役のターニングポイントとなったエピソードや、印象的だったエピソードを教えてください。

波瑠:比奈子にとっては物語の結末がポイントだと思うので、最終話の台本をいただいてやっと「こうしていけばいいんだ」と、一気にわかったような感覚はありました。あとは、5話がすごく大きな節目でした。中島保(林遣都)の犯行が発覚したのは比奈子にとって大きかったですね。今まではなかったものが生まれて、比奈子が自分でも気付かないうちに揺れている部分もあって。

横山:東海林は比奈子が”そっち側”に行かないように目を向けて、動けるのは自分しかいない状況なので、9話でもやることが山積みで「大変やな」と思っています。9話はすごく面白いですね。この状況で比奈子そんなこと言う!? みたいな、クスッとなるんちゃうかなみたいなところもありますし。比奈子も、東海林に腹を割って言えることが出てきます。

――最終話の台本を読んだ時の感想はいかがでしたか?

波瑠:「なんて大変そうなシーンが多いんだ」と思ってしまうくらい、見応えのあるシーンが多かったです。これで終わりなんだけど、根底にあるものに明確な終わりはない、そういう物語だったのかなと思いました。

横山:ゲストの方にも出ていただいて、その人と比奈子の関係性についても盛りだくさんですね。ラストは大変です。

――8話までの展開で、比奈子と東海林の距離は近くなったように感じましたが、互いにどういう存在だと思っているのでしょうか?

波瑠:比奈子は東海林先輩を分析して理解はできるけど、そこに個人的な感想を抱きません。自分と重ね合わせるようなことができない女性なので、物質的に捉えているのかなと思います。きっと「なんて人間的な人なんだろう」と思いながら、東海林先輩を見ているんじゃないでしょうか。楽な方をあえて選ばずに生きている、というか。最初の「なんだかよくわからないぶっきらぼうな先輩」というところから、「抱え込んでいるものがあって、人間らしく生きてる人なんだな」と思うようになったんじゃないかと思います。

横山:東海林は「比奈子の違和感に気付いているのは自分だけ」と思っているし、中島先生にも頼まれて、もどかしいと思うんですよね多分。比奈子がこのままだと人殺しに走りかねないのを止めたいだろうし、もどかしい状態が9話で爆発する感じだと思います。なんとかしたいんだけど「どうしたらええ?」みたいな。この人はほんと、不器用なんですけど、情には厚い人なんで。救いたいんでしょうね。