コールのタイミング
本編の上映が始まると、まず「東宝」のロゴに対して「東宝~!!」「ありがとう~!!!」と、会場全体から感謝の声が上がる。良い作品を送り出したことに、直でポジティブな反応が返ってくるという結果になっていた。また、『シン・ゴジラ』名物となっているテロップは基本読み上げの姿勢で進んでいく。
キャラクターが登場するたびに場内は歓声に包まれるが、特に矢口蘭堂、泉修一、花森麗子(余貴美子)、志村祐介(高良健吾)、尾頭ヒロミ(市川実日子)、安田龍彦(高橋一生)などの人気キャラクターには、ひときわ大きな声が上がる。竹野内豊演じる赤坂秀樹には「いい声!」「顔がいい!」と声がかかり、歌舞伎の「大向こう」のような味わいに。
カヨコが「ここから先はPersonal Service」「win-win」などの名台詞を英語を話すと会場全体が真似をするなど、キャラクターにあった反応が自然と発生していた。さらに泉が激昂する矢口をおさめ、「まずは君が落ち着け」と水を渡す名シーンでは、観客が皆ペットボトルを掲げ、囃し立てるように「ヒュ~」と歓声が上がっていた。
総理に決断を迫るシーンでは「ご決断を!」の声が上がり、京急が破壊されるシーンでは「京急ーーー!!」と大絶叫。巨災対の活躍シーンで流れるBGMのリズムに合わせて手拍子が巻き起こり、”ヤシオリ作戦”ではゴジラに向かって「一気! 一気!」と一昔前の飲み会のようなコールが行われ、クライマックスにふさわしいような、ふさわしくないような、しかしとにかく一体感だけは抜群となっていた。
ゴジラが出てくると赤、自衛隊が活躍すると緑、レーザー光線が出ると青・紫など、場面に合わせて様々に色を変えるペンライトも雰囲気作りに一役買った。
役者の反応は?
この日は上映後に市川実日子、松尾諭、塚本晋也、片桐はいりの4人が登場したが、出演者陣もこの盛り上がりには驚いた様子で、映画を一緒に見ていたという塚本は怯えたように「怖い!」を連発。
「なんでタイミングが合うの? どこで練習してきたの?」と客席に語りかけると、「自主練!」と響くように回答が返ってくる。しかし、塚本演じる間邦夫のトレードマークである、首からかけたタオルをかけている女性を見ると、うれしそうに頷くなど、普段と違った体験を楽しんだ様子だった。
最初は怪訝そうにしていた市川も、尾頭ヒロミの長ゼリフをその場で披露すると、大歓声を受けて力強いガッツポーズに。松尾は名台詞をアレンジし「まずは君たちが落ち着け」「まずは君が落ち着け」と声をかけ、集まった女性たちを興奮させ、さらに「この方は落ち着いていますね」客いじりまでしてみせる余裕を見せた。
片桐もひょうひょうと登場し、客席ともスムーズに会話。それぞれの反応を見せた役者陣だったが、通常の舞台挨拶とは違った熱狂の雰囲気に、笑顔で会場を後にした。