ハイアールの冷蔵庫「JR-N106K」

掃除機以外にも、理美容製品や小物キッチン家電、そして、メジャー家電製品でも、そうした動きが少しずつ見られている。

三洋電機の冷蔵庫、洗濯機部門の買収によって日本で展開しているアクアは、親会社である中国ハイアールの調達力と、三洋電機時代から培った日本の市場に最適化した製品企画が相まって、冷蔵庫および洗濯機市場で、それぞれ5%以上のシェアを獲得するという存在感を発揮している。これも海外家電メーカーが日本においてシェアを拡大している動きのひとつと捉えることができる。

今後、東芝やシャープも、新たな経営環境のなかで、日本向けの製品開発が加速する可能性がある。これまで以上に、日本の白物家電市場が賑やかになる可能性は捨てきれない。当然、それに伴って、激しい競争も繰り広げられることになろう。

日本の白物家電メーカーの動きをみると、ライフスタイル提案を重視する傾向が強まっている。製品単体の提案から、複数の製品を組み合わせたり、サービスと連携したりといった提案が進んでいるのだ。その背景には、IoT時代の到来にあわせて、センサー、ネットワーク、クラウド、ビッグデータなどの新たな技術を活用した家電製品の創出が見逃せない。

東京・有楽町のビックカメラ有楽町店では、2016年6月28日から、「IoTスマートソリューションコーナー」を開設している。パナソニックの洗濯機や冷蔵庫、三菱電機の炊飯器など、すでに発売されているネットワークに接続して利用できる白物家電製品を展示している。

こうしたスマート家電と呼ばれる家電製品は、機能面でも新たなものが多いが、ライフスタイル提案につなげる取り組みが重視されている。

現時点では、ビックカメラにおいても、スマート家電の認知度をあげたり、スマート家電の機能を訴求したりといったことを重視しており、売り上げへの貢献はまだ先だと判断している。しかし、こうした提案が日本の家電メーカーから行われていることには注目しておきたい。

IoT時代における日本メーカーの優位点

一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)の調べによると、センサーの世界需要は、2014年には532億個の市場規模であったものが、2025年までに年平均成長率10%増で推移。2014年の2.9倍となる1522億個にまで拡大すると予測している。金額では、2014年の2兆8000億円から、2025年までに年平均11%増で成長し、同じく3.2倍の9兆円に達すると予測した。

この分野において、日本の企業は高いシェアを持っている。そして、白物家電事業を行っている企業と同じ企業が、センサー分野においても実績を持っている。つまり、IoT時代の新たな白物家電においては、日本の白物家電メーカーが優位な立場にあるともいえるわけだ。

こんなにところにも、日本の白物家電メーカーの今後の成長を期待できる要素がある。