同じく、プレミアム戦略が功を奏しているのが、日立アプライアンスだ。
同社では、冷蔵庫、洗濯機、掃除機、電子レンジ、ジャー炊飯器の家電5製品における国内販売金額シェアで25%を超えるシェアを維持し、この領域においては、ここ数年、トップシェアを争っている。
新方式「ナイアガラ循環シャワー」を採用した「BD-SV110A」 |
エコの追求に加えて、日立独自の新たな機能を搭載することによって、生活を豊かにするという提案が、「エコに足し算」。冷蔵庫では真空チルドによって野菜の酸化を抑えて、鮮度を維持。ドラム式洗濯機では、ナイアガラすすぎによって、たっぷりの水と遠心力で洗剤もしっかり落とすことを訴求する。また、電子レンジでは、Wスキャン機能によって、肉や魚の旨み成分を引き出すといったように、それぞれの製品において、特徴的な機能を付加して、これを差別化戦略に据えている。
同社では、「お客様に日立が提供する価値を認めていただき、日立を選んでいただける商品づくりに力を注いできた」と語る。
日立製作所の連結業績は、2015年度実績で、売上収益は前年比2.7%増の10兆343億円、営業利益は同1.0%減の6,348億円、税引前利益は同0.4%減の5,170億円、当期純利益は同20.8%減の1,721億円。そのなかで、白物家電事業を担当する日立アプライアンスの売上高は5,605億円と、全体の約5%に留まる。
日立アプライアンスに求められる役割
だが、日立製作所が取り組む社会イノベーション事業のなかにおいて、家庭内でのイノベーションを起こすという役割を担い、日立のブランドの認知を高める役割を担うのが、日立アプライアンスが推進する白物家電事業となる。
日立製作所の東原敏昭社長兼CEOは、「アプライアンスは人の生活に一番近いところにある事業。エアコンではセンサーによって、冷たい足下を探して、足下を暖かくさせることができる。この技術を使えば、近い将来、人の顔色が悪いということもわかるようになり、クオリティ・オブ・ライフを向上させることができる。白物家電も今後は、つながっていくことが必要であり、それによって進化していくことになる」と、今後の白物家電事業の成長に期待を寄せる。
日立のルームエアコン「ステンレス・クリーン 白くまくん」では、画像カメラ、温度カメラ、モノカメラ、お部屋カメラで構成させる「くらしカメラ 4」により、人や家具の場所、温度などを検知。気流の通り道を判断し、冷風を効率よく循環させることができる。この機能を発展させれば、さらに付加価値が高いエアコンへと進化させることができるというわけだ。