役者としての印象

――それでは、ぜひ主演の3人についておひとりずつ印象を伺えればと思います。ジェシーさんはいかがでしたか?

ジェシーは現場を俯瞰で見て、いろいろ考えて来てくれます。カッコつけてるとかではないんですが、テスト撮影ではちょっとクールに見えるところもありますね。目がやる気まんまんだから、本番で追い込んでくるタイプなんだなと、すぐにわかりました。あとは、要潤さんとか、アドリブで何をするのかわからないんですけど、ジェシーはちゃんとレスポンスしていて、コミュニケーション能力が高いんですね(笑)。

――松村さんの印象は。

一番相談しにくるし、芝居が本当に好きだということが伝わってきます。木村拓哉さんもそういう方だと聞いたことがあるので、重なるようだなと思いました。伸びしろがすごいから、もっと映像に関われるといいですよね。やっていくと、もっと変わっていくと思うんです。役についてかなり考えているので、自分の持つイメージに近い演技がするっと出てくるようになるとさらに強いと思います。

――田中さんについてはいかがですか?

意外と、現場を仕切ってくれていました。見た目、言動と違って仕事には真面目です(笑)。周りをよく見てるし、頭の回転が早いので、うまくまとめてくれる、中居正広さんのようなイメージがあります。印象に残っているのは、沖縄ロケの空き時間に、エキストラの子供達ときゃっきゃと遊んでいたこと。スタッフさん、エキストラさんの雰囲気を作っていくのはすごく大事なことですし、エンドロールではその様子が流れるので、ぜひ注目してください。

――小西成弥さん、前田航基さんといった同世代の方もいましたが。

小西くんの役は、一番ヘタレで特別な力がないという設定で、逆に難しかったと思います。一番怒られていました。勿論僕に(笑)。彼がチャラくすればするほど、真剣な場面とのギャップが出てくるんですが、本人が真面目だから真面目っぽくなっていっちゃう。「それじゃチャラくないんだ!」って怒りましたね(笑)。

前田君はお笑いコンビなだけあって、やっぱり間の取り方が上手でした。あとはみんなにかわいがられてたから、走るシーンでは長めにカットを回して、かなり全力の姿を撮らせてもらいました。実際に使う以上に全力で(笑)。

平和への思いを込めた映画

――ちなみに、あまり予算がなかったというお話でしたが、沖縄ロケは難しくなかったのでしょうか?

僕はよく沖縄ロケをやるんですが、実際に関東近辺で同じ撮影をしようと考えると、実はそんなに金額は変わらないんですよね。むしろ安いかもしれない。撮影も協力的でアットホームですし、許可も取りやすいんです。

今回はうるま市でしたが、世界遺産の勝連城もあってすごくいいところなんですよ! 樹が走るところも、"海中道路"という海のど真ん中にある名所ですので、ぜひ映画を見た方はうるま市に観光に行ってください(笑)。

――風景もすばらしかったですね。最後に、作品が気になっている方に、ぜひメッセージをお願いします。

青春コメディですけど、「家族を愛するように、友達や彼女を愛して、敵と思ってた人たちも大切にすると、平和になれる」というメッセージを込めています。主人公が、自分で考えて行動して好きな女性のために頑張ることが、実は世界平和につながっている。人を大切にするという気持ちがあると、平和な世界が生まれるんじゃないでしょうか。青臭いことを言っていても嫌味じゃなく聞こえるのも、彼らの力かもしれません。愛と平和です!

映画『バニラボーイ トゥモロー・イズ・アナザー・デイ』
海のない栃木の高校でサーフィン部に所属する、平凡で若干イケてない高校生・太田(ジェシー)。彼が何事もなく普通の毎日を過ごすこと=世界の平和が保たれるという摩訶不思議な力の持ち主で、日本政府は秘密裏で彼を守衛・監視していた。そんな太田が、心の均衡が保てない出来事、つまり恋に落ちてしまった。その壮大な力を巡り、日本政府、合衆国、そしてテロリストまでも登場し、騒動が繰り広げられる。9月3日公開。