ジャニーズJr.内ユニット・SixTONESのジェシー&松村北斗&田中樹が主演することで話題の青春映画『バニラボーイ トゥモロー・イズ・アナザー・デイ』(9月3日公開)。世界を揺るがす能力を持ちながら、自分自身は"普通の人間"だと思って過ごしていた高校生が、好きな女子のために世界を救うことになる。

丘サーフィン・初恋・駅伝・沖縄・超能力・国家安全保障会議……それぞれひとつだけでも物語になるような設定を詰め込んだこの「一風変わった青春映画」はどのようにできあがったのか。根本和政監督に話を聞いた。

根本和政
1966年5月30日生まれ。テレビドラマ『アンフェア』『メン★ドル ~イケメンアイドル~』『恋して悪魔 ~ヴァンパイア☆ボーイ~』『押忍!!ふんどし部!』等の連続ドラマ、テレビ映画『アンフェアSP・ダブル・ミーニング シリーズ1.2.3』、『黒蜥蜴』など数多くの作品を演出。本作で映画監督デビューとなる。

ちょっと違う青春群像劇を

――初監督映画となりますが、どのように話が決まったのでしょうか?

実は「青春映画をやる」ということが先に話になっていたらしく、監督を探していた時に、なぜか何人かのプロデューサーが僕の名前を挙げてくれたらしいんです。僕も『押忍!!ふんどし部!』というドタバタ青春ドラマなどを作っていましたので、「変わったことをやるなら向いている」と思われたのかもしれません(笑)。

――この映画は青春を描きつつ、最近の青春ものとはまた違ったテイストの作品になっていたのかなという印象です。

この話は、ふとした設定から膨らんできたんです。みんな「自分は変わっていて、他人は普通の人」と思いこみがちだけど、逆に「自分は普通がいいと思っているのに、実はまわりがその"普通"を作ってくれていたら」と思いついて。主人公の太田は超能力を持っているのに、周りの人たちの努力で"普通の生活"が作られていることに気づいていません。

もちろん、真正面から恋愛青春映画を撮ることもできたんですが、青春群像劇がたくさんある中で「ちょっと違うことを」というのは意識しましたね。とはいえ恋愛要素も入れたいし、成長要素も入れたいし、欲張りな作品になりました。地球防衛軍のような設定も、漫画っぽいことを映画でやってみようという試みでもありました。

――主演の皆さんもかなり振り切れた演技をされていましたね。

ジャニーズのみなさんは、同じ年齢層の俳優さんよりもいろいろな仕事をしているからか、振り切った演技も「かわいい」と思わせる力があるんですよね。撮影現場でも「自分でブレーキかけるな、行くなら行け、もっと行け」と言っていたくらいです。普通は難しいはずなんですよ、そこまで振り切るのって。でも3人とも相当カンがいいので、面白い映像になりました。

――3名の印象と、キャラクター設定もしっくり来ているように感じたのですが、キャスティングは意識されましたか?

3人の役の振り分けはざっくりと決めていたんですが、実はパーソナリティを見て、それぞれに合うように練り直しています。それから恋愛要素はありますが、昔の中学生みたいなピュアな感じにしたかったんです。観ている側も、相手の女の子に感情移入するんじゃなく、自分が彼らの同級生で、学校で姿を見守っているくらいの距離感になる方がいいと思いました。