乳がんの治療法をおさらい
先述のように、乳がんには乳管内にとどまる「非浸潤がん」と、さらに乳管の外へ広がり、他の部位へ転移する「浸潤がん」の2つがある。乳がんの治療にあたっては、がんの進行度に伴って変わってくる(※2)。
浸潤がん
手術をした後、放射線療法や薬で治療を進める。または「しこりが大きい」「リンパ節転移がある」など、局所で進行した場合には手術前に化学療法でがん細胞を小さくしてから手術で摘出(その後、放射線療法)する方法がある。
非浸潤がん
乳管内にとどまる非浸潤がんは、がんが転移することは少ないので局所治療のみで治癒が期待できる。しかしながら、上皮細胞~基底膜を破り浸潤がんになると血管に転移している可能性が出てくる。そうなると局所治療のみならず、全身治療が必要になり、転移がんになると全身治療が主体となる。
乳がんになりやすい人の特徴
疫学研究から確認された、乳がんにかかりやすいと言われるリスクファクターは以下の通り。
・乳がん患者が家族にいる
・初経(生理が来た)年齢が若い
・閉経年齢が遅いこと
・出産経験がない
・初産年齢が高い
・授乳経験がない
・授乳期間が短い
・肥満
ただ、乳がんは食生活の変化や女性の社会進出、ストレスなどさまざまな要因で発症することもある。上記の項目に該当しないからといって、「乳がんにならない」とは断言できないため、それだけ乳がん予防は難しいと言える。
乳がん検診とセルフチェック法
では、どのような予防をすればいいのだろうか。現在、乳がん検診の代表的な検査方法として、マンモグラフィーと超音波検査(エコー)、触診の3つが挙げられる。
日本人は特に乳腺濃度が濃いため、乳腺やがんが白く映ってしまうマンモグラフィー検査だけではがん細胞を見落としてしまうケースも。心配であれば、エコー(超音波)とのW検査をして、見落とすリスクを減らしていくのも一つの手だ。
検診の他に、自分の胸を触って自己検診する方法もある。実際、胸のしこりを夫やパートナーから教えてもらったというケースも少なくない。月に一度、セルフチェックを行い、胸の変化に気づくことも必要だと覚えておこう。なお、自己検診の方法は「NPO法人乳房健康研究会」などでも確認できる。
※1 国立がん研究センターがん対策情報センター 「がん情報サービス」 最新がん統計 3.がん罹患(新たにがんと診断されること 全国推計値) がんに罹患する確率~累積罹患リスク(2012年データに基づく)より
※2 日本乳癌学会編「乳癌取り扱い規約 第17版」より