東芝ライフスタイルを傘下におさめるマイディアグループは、家電で世界第2位のメーカーで、200以上の国や地域で販売をおこなっている。売上高は約228億ドル。東芝とは、1993年にエアコンにおいて技術協力を開始して以降、電子レンジ、IH炊飯器などで技術協力などをおこなってきた歴史がある。
東芝ライフスタイルの会長に就任したマイディアグループの顧副社長は、ビデオレターで、経営理念として、権限の委任、信頼性、責務を重視していることを強調した上で、東芝ライフスタイルについては、石渡社長の自主経営を正式に認めているとあきらかにした。さらに、グループからの継続的な投資や支援を約束した。
2~3年後には、欧米、インド巨大マーケットを狙う
これまで聞くと本当になにも変わらないかのようにみえるが、そうではないようだ。東芝ライフスタイルの石渡社長はグローバルの事業シナジーを生み出すために、2社の持つ強みをいかしていくと説明。短期的に効果が上がることで言えば、部品を共通の調達先から仕入れることで、部品のコストを下げることが可能になる。
さらに、東芝は今まで日本の生活様式にあまり合致しないサイズでの商品がなかったが、マイディア傘下に入ることで、商品展開もバリエーションも増やすことができるようになるという。とはいえ、例えば国内市場において、増やしたバリエーションの商品を販売することになったとしても、ブランドは東芝。東芝ブランドを強く出していくという。
さらにはマイディアのグローバルでの強みを生かして、今後は、欧米、インドなど巨大マーケットにも東芝の白物家電の進出を目指していくという。時期は2~3年後、欧米では東芝のテレビなどをいまだに使用している家庭もあるため、ブランドはマイディアではなく東芝一本で考えているという。
そのほか設計、開発の技術協力、相互の製造拠点を活用した生産スマート家電、グローバル人材の育成などをともに進めていくとしている。
成長投資を拡大
「東芝ブランドは傷がついています」と自ら口にした石渡社長。今まで東芝傘下で、技術開発や広告、マーケティングなどへの投資も抑えられていたが、マイディアグループ傘下では、コスト削減だけでなく、成長のための投資も積極的に行っていけそうとの期待を明らかにし、マイナスな印象から逆転を図りたい考えだ。
具体的な事業計画は現在2社の中で協議が進めれられており、決定次第発表するとしている。石渡社長は新体制にあたり、社員に対し「グローバルブランドになるチャンスを得た」と鼓舞、社員のモチベーションも高まり、すでに数十個のプロジェクトがスタートしていると社内の雰囲気がいいことをアピール。2017年度(1月から12月期に)には、営業利益、純利益ともに黒字転換させる見通しだと明らかにした。マイディアグループの子会社化は本当に東芝の白物家電の復活、そして世界ブランドへの始まりとなるのか。具体的な事業計画の中身に注目したい。