海外展開とAIの利用が今後の課題

LINE全体の事業収入は70%が日本市場であり、今後の発展には日本以外の国での成長が不可欠だ。LINEでは海外での事業拡大をタイ、台湾、インドネシアに絞っており、フェイスブックのある英語圏や中国の微声といったサービスとは直接競合せず、まずはこれらの国での安定的なシェア確保を目指している。

日本ほかタイ、台湾、インドネシアの4カ国にフォーカス

国内では次々とサービスを発表して派手な印象のあるLINEだが、海外での事業展開は地道な印象が強い。とはいえ、総人口で3億人を超えるこれらの国・地域を攻略できれば、日本と並ぶ大きな市場になるのは間違いない。さらに、まだインフラが整備されていない周辺国家への展開も期待できる。LINEにとっては失敗の許されない市場だけに慎重なのも止むないだろう。

海外においては現地のニーズを捉えた"カルチャライズ"という考え方でサービス展開を図る。タイではLINE MANというフードデリバリーサービスを展開

技術面では、LINE BOT APIに代表される自動応答アカウント(BOT)の技術開発が肝になりそうだ。すでにクロネコヤマトと共同で、AIを使って自然言語で再配達指定をLINEアカウントから応対できるシステムを開発しているが、LINEがインフラとしてますます確固たる地位を確保するためにも、人力に頼らず大量の要求に応答できるBOTシステムは不可欠だ。

今後は自動応答アカウント(Bot)の利用にも期待がかかる

BOTは企業等の公式サポートアカウント用だけでなく、LINE上の各種コンテンツの検索サービスとして、またLINE@などにも応用がきくものであり、LINEメッセンジャーを中心として各種サービスをシームレスに利用する、スマートポータル化のための切り札となる技術だけに、そのバックボーンとなるAIの開発についても、早急な対応が求められる。国内でもDeNAやソフトバンクなどがAIに多額の出資をして、企業買収や技術提携などを進めているが、LINEも国内、あるいは上場した米国でのAI開発企業の買収などを進めていく必要があるだろう。