ネットの通信販売が生活に浸透してきたことなどによって宅配便の再配達による社会的な損失が深刻な問題になっている。官民を挙げて、再配達ロスの解消を目指す動きが広がっているが、そんな中、ヤマトグループなどは、再配達を確実になくせる家を公開した。
再配達による社会的損失とは
インターネット通信販売の利用者拡大によって、宅配便の取り扱い件数が増加、それにともなって受取人の不在等による再配達が増加している。二酸化炭素排出量と労働力不足。この問題に対応するため、再配達の削減を通じた物流の効率化を推進する必要がある。
この問題に対しては国土交通省の検討会で議論が行われた。報告書によると再配達によって、営業用トラック年間排出量の1%に相当する年約42万トンの二酸化炭素が発生し、時間で換算すると年間約1億8000億時間、 労働力で換算すると、約9万人分の労働力に相当するという。今後は、コンビニ受け取りの地域インフラ化や、鉄道駅等での受け取りインフラ整備の促進などを取り組むべきとしている。
物流、鉄道、流通業などの協力で広がる取組
再配達を減らすために広がっている最寄のコンビニで荷物を受け取るサービス。コンビニにとっては、来店者数の裾野が広がることが期待できるメリットがあるが、受け取りサービスの多くは宅配業者、通販業者とコンビニブランドごとの契約になっているため、荷物が必ずしも最寄のコンビニで受け取れるとは限らないこと、バックヤードの広さなどに課題があるそうだ。
さらに、日常生活で接触率の高い駅での設置も進められている。JR東日本では、通勤・通学途中での宅配荷物の受け取りが可能になる「宅配受取ロッカー」の設置を6月ごろからスタート。設置されるのは、日本郵便とヤマト運輸のロッカーで、山手線、京浜東北線、東海道線、中央線、埼京線、総武線などの首都圏各駅での設置を検討し、1年以内に100駅程度の設置を目指すとしている。
また最近の新築戸建て住宅には、宅配ボックスの設置も進められているという。そんな中、宅配業大手のヤマトは今までにない発想の問題解決の方策を提案する。