新たな仕組みをラジオ業界全体で共有する姿勢
ラジオを作ると同時に、新しいラジオ放送の在り方まで作ろうとするのが今回のニッポン放送の取り組みだ。ラジオからスマホにURLを送る仕組みについては特許を出願済み。この仕組みが普及すれば、ニッポン放送は特許使用料で収益を上げられるわけだが、Cerevoの岩佐氏が「IPをクローズにするつもりは全くない」と語るように、ヒント開発陣営に特許で稼ごうという考えはない。この仕組みを別の放送局が使ってもいいし、BLEビーコンを搭載したラジオを別のラジオメーカーが製造・販売することも歓迎するというのが開発陣のスタンスだ。
この仕組みが普及すれば、確かにラジオ放送の在り方は変わりそうに思える。少なくとも、URLを配信できるというオプションを獲得できる分だけ、ラジオ局としてみればプラスの効果が見込めるだろう。しかし、この仕組みが浸透するには、ある程度の台数のヒントが世の中に出回る必要がある。
クラウドファンディングの成功など、ヒントが世に出るために乗り越えるべきハードルは高そうだが、ローコストでラジオの未来にチャレンジするニッポン放送の取り組みには期待したい。BLEビーコン搭載ラジオの活用が広がれば、放送局やラジオメーカーなどを糾合し、この仕組みを軸としたコンソーシアムを組成することも視野に入っていると吉田アナは語る。ラジオとネットの融合に、新たな道を拓く可能性を秘めるヒント。まずは量産化の成否に注目だ。