このHonda歩行アシストのほか、膝関節痛に悩む人たちのため、大型船舶用スクリューの研磨で培った技術を応用した人工関節を製造する帝人ナカシマメディカルが、海外進出へ向けて奮闘する姿も番組内で放映されていた。

こうした日本の職人たちの技術や知恵、そして新たな分野へと挑戦する姿を目の当たりにした視聴者は、「ホンダの技術者は頼もしい。本当に素晴らしい」「昨日までつえをついて歩いていた人が、歩行アシストをつけたら歩けるようになる。夢みたいなことをやってのけてしまう」「日本はもっとこういった素晴らしい会社を補助するべき」などのコメントを、放映後にインターネット上につづっていた。

また、「将来はディープラーニングやIoTも組み合わせた、言語障害や認知症のためのアシスト機器が登場するのではないか」などのように、さらなる医療系デバイスの開発を期待する声もあった。

中小企業にもチャンスはある

古くはオリンパスや富士フイルムなどがその技術を活用し、内視鏡やエックス線写真のデジタル画像を世に送り出して医療業界へと参入してきた。そして、キヤノンや旭化成、本稿で紹介した本田技研工業なども医療・健康分野への進出を果たすなど、その流れは現在も続いている。

ただ、何も医療方面へとシフトできるのは大手製造企業ばかりではない。物事の視点や見方を変えれば、日本企業の大多数を占める中小企業にも身体面の不自由さに悩んでいる人を救えるチャンスはあるはずだ。今回紹介された歩行訓練機器や人工関節のような人を助けるアイテムが、思いもよらぬ業界から今後一つでも多く生み出されることを祈る。

※写真と本文は関係ありません