「東京国立博物館は近代からの建築物の博覧会と言える場所なんですよ。時代時代の代表的な建築物がある」23日(土)、東京造形大学で非常勤講師をつとめ、自身も一級建築士の資格を持つ鈴木実氏は、東京国立博物館に到着すると参加者に対し、こう説明し始めた。
上野周辺の商店街などが加盟する上野観光連盟は、国立西洋美術館が世界文化遺産に登録されたことを記念して7月28日から8月28日までの木、金、土、日(午前9時半~12時 料金3000円)に上野にある歴史的な建造物を巡るツアーを開始する。23日には、このツアーでガイド役を務める約20人のスタッフを相手に、実際のツアーでどのようにコースをまわり、どのような説明をするのかなどといったことの最終確認の意味をこめたツアー。ガイドは全員通訳案内士の資格を持ち、このツアーのために、説明する施設についての事前レクチャーを受けている。
(左)東京国立博物館表慶館。1908年竣工。片山東熊、高山幸次郎設計。大正天皇のご成婚を記念して建てられた明治宮廷風建築の名作。バロック様式の手法が随所に散りばめられている(右)東京国立博物館本館。1937年竣工。渡辺仁、宮内省設計 |
この日のツアーでは、東京国立博物館、国立科学博物館、そして世界遺産に登録された国立西洋美術館、ル・コルビュジエの弟子の前川国男による東京文化会館の4カ所をまわった。説明の途中では、都内にある他の歴史的建造物などの説明も交え、近現代の歴史的建造物の歴史を振り返ることができるようになっている。(東京国立博物館と、国立西洋美術館内はガイドなしで自由見学。科学博物館は外観のみの案内の予定)
西洋美術館でも、月に2度、20人限定で館内などをまわる建築ツアーを開催している(9月からは月に4度)。開催日の2週間前からネット上で申し込むことができるが、「開始5分程度で満員になっている」(広報担当)という人気。工場見学や、産業遺産もブームになったが、今度は近現代の歴史的建築物を見学するツアーの人気が高まるのではないだろうか。