アルバムコンセプトは「応援」
――7月27日に発売する3rdアルバム『Ambitious*』。1stアルバム『COLORS』、2ndアルバム『COLORSII -RML-』はオリジナル楽曲を含むカバーアルバムでしたけど、今回は初のフルオリジナルアルバムですね。
やっぱり今まではカバーアルバムでオリジナルの持ち曲も少なかったので、フルオリジナルと聞いたときは嬉しかったです。「オリジナル曲でライブが出来るんだ!」と思ってワクワクしています。
――全体を通して、レコーディングで印象に残っている点はありますか?
今回は全体的にキーが高い曲が多くて苦戦しました。私は地声が高いので高音の曲は得意なんですけど、高音が出しづらい曲がたくさんあったので、「まだまだ磨いていかないといけない」と、自分の歌の技術についてまた見つめ直せました。大変だったなあ……。でも、ライブでは完璧に歌いきってみせるので、それはもう、期待していただけたらと思います。
――課題が出来ましたね。
最初に出来ないと思ったほうが燃えるんです。「なんでだ! なんでこの声が出づらいんだ!」ってときに、声の使い方を練習して試していくのがすごく好きなんです。
――努力家で負けず嫌いですね。
負けず嫌いはあると思います! 世界中を探したら、私が苦戦した曲をすんなり歌える人はいるわけじゃないですか。「その人に出来てなんで自分に出来ないんだ」と思った瞬間に「負けたくない!」って。
――まさにアルバムタイトル『Ambitious*』ですね。
私がMachicoとして第一歩を踏み出すための心構えや、高みを目指すという意味で付けたタイトルです。「*(アスタリスク)」を最後につけて、イメージを柔らかくしています。 『Ambitious*』のコンセプトは「応援」なので、すべての曲に背中を押す言葉が入っているんです。落ち込んでいるときに聞いたらハッピーになれると思います。 「*」には聴いてくださる方の生活に花を添えられたらな、という意味もあるんです。
新しい自分を見ているよう
――『アイドルマスター ミリオンライブ!』の3rdライブツアー・幕張公演(「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 3rdLIVE TOUR BELIEVE MY DRE@M!!」。1月31日から4月17日まで、名古屋、仙台、大阪、福岡、幕張の5都市7公演で開催された全国ツアー)まではロングだった髪の毛を、4月29・30日の「ニコニコ超会議」ではバッサリ切っていてびっくりしました。アルバムのコンセプトに寄せるために40センチあった髪を切ったんですよね。
そんなに長かったんだなってびっくりしました(笑)。ずっと長かったのでどこかで切りたいと思っていたんです。今回のアルバムコンセプトにも合いますし、切ろうかなと。「ヘアドネーション」で髪を寄付させていただいて、いまはすっきりさわやかです。
――目的があって伸ばしていたわけではなかったんですね。
伸ばしきっていただけなんです(笑)、なので、気分を変えたいなって気持ちはありました。デビュー当時は鎖骨のちょい下くらいの長さだったんですけど、そこからずっと黒髪ロングでやってきたので、ロングの私しか知らない人は、「え、ウィッグ?」って。でも、好評価をいただいているみたいなので、切ってよかったって思っています!
――デビュー前のブログで「はやく髪が伸びないかな」って言っていた時期もありましたね。
それ、だいぶ昔ですよね!「ホリプロタレントスカウトキャラバン」の決勝戦のために切ったら、髪の毛が思いのほかすっかすかになってしまったんです(笑)。早く伸びて欲しいと願っていた時期もあったなあ。
――アルバムジャケットのイメージも前回までとはだいぶ変わりましたね。
1stと2ndアルバムはロック寄りな衣装でしたが、今回は普段の私に近い明るい部分をフィーチャーしていただきました。
――アルバムのリード曲でもある「Girls Be Ambitious!!」はどのような曲になりましたか。
初のフルオリジナルアルバムのスタートを飾ってくれるような、さわやかで綺麗な曲です。「自分を信じて進むぞ」という歌詞になっていて、私にとっても門出を祝われているようです。
――MVからもさわやかさが伝わってきました。
そうなんです。MVも作っていただいて、衣装も白シャツにデニムとシンプルなんですけど、スタートを飾る曲だからこそだなって感じました。私のなかでは珍しい服装なので、新しい自分を見ているようでした。最初に指定したロケ日は雨が降ってしまったので撮影ができなかったんですけど、別日に仕切りなおしたらありがたいほどの晴天で、曲の明るさと輝きが天気と相まって、いいMVになりました。あと、収録時は風が強くて髪型がフワーってしちゃって大変でした(笑)。
――MVは初回限定盤付属のDVDで見られるんですよね。MV内では公式キャラクターの「ゾーナム」をはじめとしたMachicoさんが描いたイラストがたくさん登場して。
スタンプみたいに散りばめられているので、「これMachicoちゃんが描いたんだ~」って楽しんでいただけると嬉しいです。
あえて歌を入れていない
――2曲目「永久味方宣言」はガールズバンド的な楽曲。
チアリーダーさんが踊っているような応援サウンドです。かけ声もたくさんあり、セリフ回しのような歌詞が多かったので、「歌っている」というよりかは、「言葉を喋っている」ような曲です。なので、棒読みに聞こえないように歌うのが大変でした。サウンドプロデューサーのエンドウ.さんが明るい方で、「もっとここはこういう風にテンションアゲアゲで~!」みたいな指示を受けて、「もっとエンドウ.さんに負けないテンション感ではじけたように歌うぞ!」と歌っていきました。
――3曲目「thread a needle」と6曲目「一緒に帰ろう」は2015年9月発売のPS Vita用ゲーム『限界凸起 モエロクリスタル』のOP・EDテーマ。念願のCD化ですね。
いままで配信だけでしか聴けなかったので、アルバムに入ると聞いたときはすごく嬉しかったです。「一緒に帰ろう」はアルバムバージョンということで、ストリングスが追加されて、またちょっと違った楽曲になっています。3rdライブ「Machico Fantastic★Tour 2016」で初お披露目した曲でもありますし、良い曲なのでこのアルバムを機にいろいろな人に広がって欲しいです!
――4曲目の「key of the future」ではクールなMachicoさんが見られますね。
初めて聴いたときに「めっちゃいい曲~」って思ったくらい、メロディラインが私好みな曲です。サビのメロディラインが和メロっぽく聴こえるんですけど、前々から「和メロの曲を歌いたいなー」って思っていたので、「あ、私が求めていたのはこのメロディラインだ!」と感じました。アプローチの仕方がほかの曲とは全然違ったので、「どういう風に表現したら、歌が流れずに聴こえるだろう」とすごく考えた曲です。声も低く歌っていき、ワードを一つひとつ大切に感情的に歌い上げました。
――「key of the future」と「Happy Gathering」は両極端な部分を引き出せたら、と作曲の小野貴光さんがおっしゃっていましたね。5曲目「Break the ice」と10曲目「BRAND NEW WORLD~明日へのグラデーション~」は当初予定になかったけど追加された2曲ですね。
オリジナルが2曲増えたことによって、いい意味で発売日も伸びましたし、私もサプライズをしていただいてうれしかったです!
――こちらは2曲とも8月4日発売のPS Vita用ゲーム『限界凸旗 セブンパイレーツ』のOP・EDテーマですね。それぞれどのような楽曲に仕上がりましたか?
「Break the ice」はサビの「Boy meets girl」や「Get a kick」など英語の歌詞を一緒に歌えるようになっているので、ライブで盛り上がれると思います。落ちサビでも同じメロディラインがあるんですけど、ここはあえて歌を入れていないんです。ライブでお客さんに「Boy meets girl」や「Get a kick」と歌ってもらって、初めて完成する曲です。『セブンパイレーツ』は海賊がモチーフのゲームなので、楽曲も大航海っぽく「帆を広げろ―!」みたいなイメージです。高まりますねー。
自分のメルヘンをいっぱい詰めた曲
――「BRAND NEW WORLD~明日へのグラデーション~」はレコーディングにかなり苦労したんですよね。ローソンHMVでの連載「Machico 3rdアルバム制作日誌」によると、OKのあとにBメロ箇所をほぼすべて録り直したと。
AメロとBメロとサビの雰囲気がまったく違うんです。入りは怪しい感じなんですけど、サビにいくにつれて明るく光が射して優しい曲になっていく。吐息感が大切でした。フルで聴いて「こんな風に変わったのか」って思うくらい、第一印象と違う曲になると思います。
――一曲のなかでいろいろな顔を見せないといけないので、表現が大変だったと思います。
大変です~~~! 黒のタイトワンピを着ているような、アダルトチックな気持ちで歌いました。「BRAND NEW WORLD~明日へのグラデーション~」も皆さんが歌える部分がサビに詰まっているんです。縦ノリではないんですけど、一緒に楽しめる曲です。
――7曲目の「星屑プリンス」は作詞もされていますね。
わー! がんばりましたー!「星屑プリンス」は詞を付けるのが難しかった曲です。私は曲先で歌詞を付けていくんですけど、この曲はすごく譜割りが多くて、「テテテテテテッ」って連続して詰まっている部分が多くて、「どういう言葉を入れよう」と悩みました。
――世界観を構築する段階から苦労した?
「オルゴールやおもちゃ箱の中」や「おとぎの国」みたいなイメージは膨らんでいました。でも、イメージが膨らみすぎて言葉選びが大変でした。恋愛ソングなんですけど、現代の人間たちの恋というよりは、時空の違った場所での恋物語。絵本で見るような恋を想像しながら、お姫様のようなキュンキュン、キラキラするワードをたくさん入れました。自分のメルヘンをいっぱい詰めた曲です。
――「深い森 お眠り中」や「ガラスの靴に込めた想い」、「ふたりだけの舞踏会」など歌詞のなかにいろいろなお姫様を連想させるワードが登場しますね。メルヘンのために本屋さんで絵本を探したり、画像検索をしたりと、資料探しが大変だったんですよね。
いっぱい探しました~!「メルヘン 画像」で検索もしました(笑)。あとは「お城」とかのワードをノートに書き込んで、言葉からイメージ出来る絵を描いて、その絵をどうやって歌詞に当てはめようかなって。いつも絵に起こして作詞をするんです。
――Machicoさんはディズニー好きなのでスラスラっと出来たのかなと思っていたのですが、かなり苦労していたんですね。
もう詰め込みたいものがありすぎて! ごちゃごちゃになるのもいやだったので、「どのおとぎ話を削ろうか」、「1番と2番に二人詰め込んだほうがいいのかな?」とか、試行錯誤していました。結局、一曲ではまとまらなかったっていうのが結論なんですけど(笑)。逆にそれがシンプルでイメージしやすい詞になったかな。曲もかわいいんです。間奏の「オッオー」とか、おもちゃ箱で人形たちが踊っているみたいですよね。