“爆買い”の勢いに陰りが出ていることは、最近のニュースでも明らかだ。7月20日に日本政府観光局が発表した2016年上半期の訪日外客数は前年同期比28.2%増の1171万4000人で、初めて半年で1000万人を超え過去最高となった。その一方で、観光庁が発表した4月~6月の訪日外国人旅行消費額の1人当たりの旅行支出は15万9930円と前年同期比9.9%減だった。消費額は落ちているが、人数は増加している。リピーターの増加などから、関心は買い物から体験へという流れはすでにできあがっている。
なぜ心斎橋なのか……
大阪をよく知る人にとってはいうまでもないことだが、心斎橋という場所の近くには、大阪のアニメの聖地「日本橋」があるため、心斎橋エリアにはアニメ好きの訪日外国人が訪れやすい。だがそれだけではない。
三菱総合研究所と鉄道各社など(西日本旅客鉄道、近畿日本鉄道、阪急阪神ホールディングス、南海電気鉄道、京阪ホールディングス、新関西国際空港)が共同で調査をおこなった。
関西国際空港の外国人旅客数は前年度比57%増の1100万人となり、外国人入国者数が初めて成田空港を上回った。インバウンド需要は東ではなく西に多い。しかも特に多いのは京都ではなく大阪。中でも難波、心斎橋エリアへの訪問が最も多く、年間600万人近くが訪れているというのだ。さらに、訪問エリアは、特定の観光地などに集中しており、回遊していない。つまり将来的な広域観光の拡大余地はまだまだあるのだ。
そういった環境化でスタートするアニメを中心とした同社の試み。「日本を代表するポップカルチャーを通じて、日本を知ってもらい、アニメの舞台となった地域などにさらに興味を持ってもらい、次の旅行の需要を生み出したいという狙いがある」(同社広報)という。
オープンは7月23日。当日には、オープニングイベントも行われる。日本が誇るソフトパワーはどれほどの力があるだろうか、その化学反応に期待したい。