お得感を同業他社と比べると
同業他社の動きを見ると、公式アプリは松屋が吉野家に先駆けて導入している。クーポンを取得できる点など、機能的に両社のアプリに大きな差はなさそうだが、少なくともデジタルボトルキープは吉野家が業界に先んじて始めるサービスのようだ。
ボトルを入れると、吉野家では生ビールが1杯300円で飲めるようになる。一方の松屋は、生ビール(中ジョッキ)を1杯290円で提供している。量を比べていないのでなんともいえないが、ボトルキープの導入で吉野家の「お得感」が際立つわけではないようだ。ちなみに、すき屋は瓶ビール(500ミリリットル)を410円で提供しているが、生ビールは取り扱っていない。
ボトルを通じて利用客との関係を深められるか
「(ボトルキープ導入で)客層が変化するとは考えていない。期待しているのは利用頻度の向上だ」。河村社長も語るように、このサービスには吉野家利用者の来店頻度を向上させる効果が見込めそう。気が向いたら立ち寄るくらいだった“ちょい飲み”の利用客が、ボトルを入れることで吉野家を行きつけの店として使うようになるかもしれないからだ。
ボトルを入れた客が、飲みきるまでは吉野家に通うと仮定すれば、同サービスは顧客の囲い込みにもつながる。ちょい飲み市場に参入する外食チェーンは増える一方だが、顧客との長い付き合いを構築できるボトルキープというサービスが、吉野家と他社との差別化ポイントになる可能性はありそうだ。同サービスが呼び水となって吉野家アプリのダウンロード数が増えれば、クーポン配布や広告といったアプリによる集客効果も高まるだろう。