築地の苦労話
――そこまでして『ヤッさん』をやりたかった理由は。
メインの舞台が築地ということも大きいですね。市場の移転が迫るタイムリーな時期でもありますし、世間も注目している。どうにかドラマという形で、映像に残せないかなという思いはありました。
――築地市場で撮影をするのは、難しいものですか?
生鮮の仕事に真剣に向き合われている方々が集まる場ですから、衛生面なども考えて、撮影そのものの受け入れが厳しいんです。特にドラマは撮影隊が大所帯になりますし、交渉は想像以上に困難でした。
それこそ途中で諦めかけたこともありました。どこかに築地に見立てたセットを作ってやるしかないかなどと考えることもありましたが、どうしてもここはホンモノの築地市場で撮りたいと、粘り強く交渉した結果、撮影ギリギリの段階でご理解を得ることができました。最後は築地人の粋を感じました。本当に有難かったです。
――最後は熱意が伝わったんですね。
幸運もありました。主演の伊原剛志さんのマネージャーさんのご実家が、築地の大手の仲卸だったんです(笑)。今はお兄様がお店を継いでいらしていて、ご協力をいただけたのは大きかったですね。もちろん、伊原さんにオファーしたときは全く知りませんし、奇跡としか言いようがありません。成功する作品には、図らずもこのような運命的なことが起こることが多いので、視聴率的にもきっときっと成功できる予感がします(笑)。
築地にぴったりな旬で新鮮なキャストたち
――出演される方々について、印象はいかがですか?
伊原さんを筆頭に、全員が適材適所、ぴったりなキャスティングだと自信をもっています。ヤッさん役は、江戸風のべらんめえ調で威勢がよく、うまいもん食ってニカっと笑う顔が似合うのを一番大切に考えていたんですが、普段のイメージとは違う伊原さんの姿が思い浮かんで…。でも、今撮影しながらも、まさにイメージ通りで本当によかったなあと思っています。
柄本佑くんは若手男優の中でも注目していた方で、ぜひ一度ご一緒してみたいと前々から思っていました。タカオに求められる高い演技力もみごとクリアして頂いてます。そして、里見浩太朗さんの存在感も大きい! 『リーガルハイ』からのお付き合いになりますが、ご快諾頂いたときはとても嬉しかったです。
――テレビ東京のドラマ『侠飯~おとこめし~』には、柄本さんの弟さん・柄本時生さんが出演されますが、それは事前にご存知だったんですか?
実は一緒にプロデュースしている濱谷君がかけもちで担当しているんですが、まったく意図はしていませんでした。双方、決まってみたら、同じ曜日に、どちらも食というテーマで、年配の男性と若い男性のバディという設定で、それぞれ柄本ブラザーズが出ているという(笑)。これはネタとして使っていくしかないかなとは思いました。美味しいフライデーとして、ぜひ両方見ていただければ。『侠飯~おとこめし~』の生瀬さんとは長いお付き合いで、先日撮影の陣中見舞いに行ったら「なんで移籍したの?」ってすごくしつこく聞かれました(笑)。
――築地の光景や、人情話の他に、実はこんなところも見どころ……という部分を教えてください。
個人的にはテレ東移籍記念ドラマと思っているので、できるかぎりテレビ東京の名物番組を感じさせる小ネタを入れていきたいと思っています。ちょっとマニアックですけど、ぜひ注目してください。