いつ実現?

では、今回の共同研究で、ナイト2000のようなドリームカーがいつ実現できるのか。対話型AIと自動運転技術に絞って見ていこう。

まず対話型のAIについては、人型ロボットのPepperの現状を知るだけでも、それがまだ程遠いことがわかる。Pepperを人間に照らしあわせれば、心の発達は幼児程度とされる。Pepperはまだまだ未成熟であり、目の前の相手が信頼できる人か否か、といったざっくりとした判断はできても、社会的秩序は理解できない。イメージビデオにあるような、相手がどういった状況で、どんな立場にいるのか、そうしたことを踏まえた自然なコミュニケーションはこれから先のことになりそうだ。

自動運転技術についても、ホンダは2020年をメドに高速道路における自動運転の実用化を目指すとしているが、より複雑な状況が想定される市街地での走行はそこから先の話となる。国内メーカーの自動運転技術の実現に向けた取組みを総括的に見ると、高速道路での半自動運転の見通しが示されたばかりといった状況で、システムにすべてを委ねる完全自動運転に向けては、自動運転技術に加え、それを支える道路インフラの整備、法制面の整備も必要になる。このため、実現は2030年以降になるとも言われ、少し先のことになりそうだ。

ナイト2000のようなドリームカーの実現に向けてざっくりと2つの側面から見てきたが、現状は解決すべき課題が多い。しかしながら、自動運転と、Pepperそれぞれが行き着く先にたどり着けば、ドリームカーの実現は夢ではなくなるだろう。今回の共同研究は技術に明るくなくともナイト2000の実現が近づいていることを感じさせる。そうした点で大きな意味を持っているといえるのではないだろうか。