この一例が、新聞のチェックコーナー。同局の『やじうまワイド』が元祖のこのコーナーは従来、赤線を引いて記事を読むスタイルだったが、記事内容の要旨をまとめた小さなプレートを作り、紙面の上にどんどん貼っていくというアナログな手法を開発した。

また、夕方の報道番組『スーパーJチャンネル』や、『報道ステーション』に向けて全国から集まってきた情報や映像を、翌朝までによりわかりやすく"再料理"して放送するというのも、朝の番組ならではの"まとめ"作業だ。

他のテレビ局では、報道番組は「報道局」、情報番組は「情報カルチャー局」もしくは「情報制作局」が制作する形で組織が大きく分かれているが、テレ朝の場合、「報道局」の下に報道番組を担当する「ニュースセンター」、情報番組を担当する「情報センター」が包括されている。ニュース素材のやり取りがスムーズに行うことができるのは、こうした垣根の低い組織体系も好影響となっているそうで、「勝手が分かっているので、ニュースセンターとの協力体制も非常に築きやすいです」と語る。

それでも桐永氏は「現状は必ずしも、すごく分かりやすくまとまっているとは思っていません」と、まだまだ伸びしろを感じている様子。「改革の途上だし、『ここはもっと分かりやすくまとめられたよね』ということを、反省会などで日常的に口酸っぱく指摘するようにしています」と余念がない。

こうした改革を進めることによって、昨年の秋口から視聴率は右肩上がりの傾向に。番組枠は8時までだが、エンディングで次の『羽鳥慎一モーニングショー』と掛け合いを行うことで、高い視聴率で"パス"を渡せるようになり、同局の縦の流れにも、良い波及効果が生まれている。

この縦の流れを強くするため、エンディングでの掛け合いの前に「池上彰のニュース大辞典」のコーナーを配置。これによって、より高い視聴率で『羽鳥慎一――』がスタートできるようになってきた。こうした効果もあって、テレ朝の4月クール全日(6~24時)視聴率は、前年同期に比べ0.5ポイント上がっており、これは民放トップの上昇率だ。

桐永氏は「何回か追いつくことができただけで、まだ『ZIP!』や『めざましテレビ』に勝ったわけではありません。でも、ここまで来たら、3位じゃなくて、2位・1位を目指していきたいと思います」と、謙虚ながらも強い意欲。この上位2番組にはまだ壁を感じている様子で、「生半可なことでは勝てないと思っています。まだまだ地固めの時期だと思って、もっと視聴者から支持をいただけるような番組になるように、ブラッシュアップしていきます」と気を引き締めている。

視聴率の数字は、ビデオリサーチ調べ・関東地区。