IIJが持つ強みは

発表会の最後に質疑応答の時間が設けられた。IIJの提供するIoTサービスには、大手キャリアと競合する部分もありそうだ。このことから「全国にモバイル網を張り巡らしている、大手キャリアの方が有利ではないか」との質問があがった。これに対し、IIJ常務執行役員ネットワーク本部長の石田潔氏は「IIJではキャリア間の相互接続を行っており、そうした技術を有効に活用できる。IoT用途に最適な環境を、適切な価格帯で提供できるのも強み。また、デバイス管理技術については20年近く改良と改善を重ねてきた。コンセントを挿したら起動する、そんな簡単なイメージでIoTサービスが利用できる。このほか、セキュリティについても技術的なエッセンスを積み重ねており、真のIoT時代にふさわしいセキュアなサービスを提供できる」と回答した。

記者団の質問に回答する、IIJ常務執行役員ネットワーク本部長の石田潔氏。IoTサービスにおける売上目標は100億円で、これを2020年までに実現させるという

現在、一般企業においてビッグデータはどの程度まで活用されているのだろうか。それについて問われた鈴木会長は「あまり本格的には使われていない」と、やや意外とも思われる回答を口にした。現行のプロセッサは処理速度が遅く、このため特殊な用途でしか使われていないという。「だからといって、何もしないというわけにもいかない。IIJでは様々なコンセプトに対して、積極的に対応していきたいと考えている」と鈴木会長。「今後この分野で大きな技術革新があるとすれば、それは新しいプロセッサの出現と同時に起こる」との見方を示した。

またプロセッサの話題に絡み、ソフトバンクがARM社を買収した件についてコメントを求められると、鈴木会長は「ソフトバンクさんがIoTをどう捉えているのか分からないので、答えにくい。私は工場の生産現場で、IoTの新しい技術が何に応用できるかを常々考えてきた。孫さんは別な考えをお持ちだろうし、今回の買収について私からコメントすることは何もない」として明言を避けている。